米TIME誌も「世界一クール」と絶賛! アフリカで売れまくる住友化学の“蚊帳” [DIAMOND online]

植民地と宗主国の関係にあった歴史的経緯からアフリカ各地に多くの拠点や情報網を持つ欧州の企業と比べて、日本企業のアフリカ進出は遅れている。そんななかで、着実にアフリカでの存在感を上げているのは住友化学だ。

その原動力となっているのが、マラリアを媒介する蚊から身を守るために、防虫剤を練りこんだ同社の蚊帳「オリセットネット」である。

世界で毎年5億人がマラリアを発症し、100万人以上が命を落としているとされるが、その約9割はアフリカのサハラ砂漠以南の地域、サブサハラで発生している。

防虫剤のスローリリースができるオリセットネットは、洗濯しながら5年間の使用に耐えるとあって、マラリア対策向けに需要が一気に拡大。2004年には、米タイム誌の「世界で一番クールな技術」にも選ばれた。現地企業と合弁企業で進出しているタンザニアでの生産量は、年間1000万張りに達している。

住友化学では、蚊帳事業はもっぱら「社会貢献が目的」(米倉弘昌社長)と考えている。だが、主な購入先となっている国際機関からは、適正な利益は確保するよう要請されている。というのも、事業継続ができなければ、蚊帳の供給も止まってしまうからだ。

そのため、住友化学では「いったん上がった利益は学校建設などの形で、再度地域に還元することにしている」(米倉社長)という。

へええ、これは確かにCOOLな話! 購入先からは供給確保のために「適正な利益は確保するよう要請」されているそうです。 よっぽど役に立ってるんですね。 かなりローテクな印象ですが、考えてみればマラリア感染を物理的に予防するという事に関しては極めてシンプルで効果の高い手法ですよね。 これならいちいち殺虫剤で殲滅する必要もありませんし。

アフリカは現金収入がある職が極めて限られた地域だが、住友化学タンザニアの工場では、「直接雇用だけで3200人、運送や補修など周辺ビジネスも考えれば3〜4倍の雇用を生み出している」(米倉社長)という。

現地では、一人の従業員の現金収入で一家を養っていることも珍しくないというから、工場一つで、数万人規模の生活を支えていることになる。

今年5月、住友化学はナイジェリアに年間2000万張を生産する新たな蚊帳工場の建設を決定した。ナイジェリアはサブサハラ全体の約2割に相当する1億4000万人の人口を持つ国で、オリセットネットへの高いニーズが期待されるうえ、今回生まれる約5000人もの直接雇用を確保しやすいことも決め手となった。

しかも雇用まで生み出しているそうです。
ところでこの蚊帳に使用されている殺虫剤の成分については賛否があるようですが、これは園芸用キンチョールなどにも使用されている一般的なものですし、マラリア感染を防止する上で非常に効果的な手法だと思いますね。