北朝鮮テポドン関連

政治目的?悪天候?故障発生?…発射見送りに憶測飛び交う [読売]

結局今日は発射しませんでしたねえ。

北朝鮮は4日、「人工衛星打ち上げ」名目の長距離弾道ミサイル発射について「準備が完了し、まもなく打ち上げる」とまで発表しながら、結局、発射には踏み切らなかった。

技術的トラブル・気象条件・政治的な意図などとありますが、まあ鉄板ですね。

発射前に覆いか 米シンクタンクが写真公開 [産経]

なんか揺さぶってきているように見えますが。

「北朝鮮から飛翔体」と誤報…最新鋭ガメラレーダーが原因 [読売]

一方、誤報が流されたようです。

防衛省によると、千葉県旭市にある防衛省技術研究本部飯岡支所の警戒管制レーダー「FPS―5」が日本海で「何らかの航跡」を探知。これに基づき、ミサイルの発射情報として伝達したことが原因。FPS―5は広域探知可能な最新鋭で、通称「ガメラレーダー」と呼ばれている。同省は探知したものが何だったのか、分析中としている。

北朝鮮のミサイル発射に対しては、米軍の早期警戒衛星(DSP衛星)が高度約3万6000キロの上空で監視、ミサイルを発射した時の熱(赤外線)を感知する。この情報は米コロラド州の米軍施設から、在日米軍司令部(東京・横田)を経て東京・市ヶ谷の防衛省中央指揮所に伝達される。また、韓国国防省にも米軍から同時に連絡される。さらに今回は、日本海に展開する日米のイージス艦のレーダーと国内3か所に設置された地上レーダーが、発射基地の舞水端里に向けられており、DSP衛星の情報とほぼ同時刻に、ミサイルの発射情報が伝えられることになっている。防衛省の豊田硬報道官は「(DSP衛星の)情報はなかった」としている。

第一報後、麻生首相は公邸から官邸に移動し、情報収集態勢の強化など3項目にわたる首相指示を発表、官邸連絡室は対策室に格上げされた。その後、誤情報と判明したことを受け、首相指示や対策室設置は取り消された。

技術的な誤探知ではなく情報の確認が抜けていたのが原因だったようです。 現場がちょっと浮き足立ってる感じですねえ。 早期警戒衛星のデータと照合しなかったというのは早まりすぎでしょw

ロシア軍、極東監視を強化 ミサイル事故に備え [朝日]

ロシア軍参謀本部筋は4日、北朝鮮のミサイル発射に備えて極東地域で監視を強め、事故が起きた場合にミサイルの破片などの落下を防ぐ態勢をとっていると明らかにした。イタル・タス通信などが伝えた。

極東部隊の軍幹部は「発射自体は脅威ではない」とした上で、高射ミサイル部隊が24時間の当直監視を行い、自国領内で人的被害を出さないよう防空システム「S―300」でいかなる目標物も撃ち落とせるとした。

領内に飛来すれば迎撃 ロシア [産経]

ロシア太平洋艦隊(司令部・ウラジオストク)幹部は3日、北朝鮮が「人工衛星」と主張する長距離弾道ミサイルを発射した場合の対応について「ミサイルがロシアの沿海地方などに飛来すれば、防空部隊が迎撃することになる」と明らかにした。

北朝鮮ミサイル:周辺国は警戒強化、ロシアは撃墜を示唆 [毎日]

また、ロシア軍はミサイル発射の失敗に備え、落下の可能性がある極東の領海やサハリン州で警戒を強めている。軍参謀本部幹部はインタファクス通信に「発射後の軌道を追尾するのは我々の任務だ」と話し、「落下阻止の手段」として撃墜の可能性も示唆した。

一方、ロシアも迎撃の用意をしているようです。 基本的にコースに入っていないけど一応という感じですね。 中露は慎重な姿勢を取っていますが、対策はとっている模様。 北朝鮮はロシアも攻撃するのかな?(笑)

他国上空に発射は極めて異例…ロケット発射の多くは海上へ [読売]

防衛省によると、世界の主要な発射場12か所のうち、8か所ではロケットの打ち上げ方向を海上に設定している。残る4か所も、自国の領土や極端に人口が少ない地域の上空を通過するようになっている。

宇宙飛行士の若田光一さん(45)が先月、国際宇宙ステーションに向かったスペースシャトルは、ケネディ宇宙センターから大西洋に向けて発射され、今年1月23日に打ち上げに成功した日本の国産ロケットH2Aも、種子島宇宙センターから太平洋に向けて発射された。宇宙航空研究開発機構の担当者は「万一の事故に備えれば当然のこと」と語る。

地球の自転の影響を受けるロケットは一般に東に向けて発射した方が加速が速く、効率が良いとされるが、自国の東側がアラブ圏と接しているため、政治的配慮から、あえて西側の地中海上を打ち上げ区域に設定しているイスラエルのような国もある。

1999年11月に打ち上げに失敗したH2ロケットの事故原因解明に取り組んだ東北大の上條謙二郎名誉教授(宇宙推進工学)は、「北朝鮮の発射場がある舞水端里(ムスダンリ)から日本の東北地方に向けて発射することは、性能面や技術面だけを考えれば合理的かもしれない。しかし国際社会がどう受け止めるか全く考慮していない打ち上げ方法だ」と話している。

日本ではH-IIAで極軌道への衛星打ち上げを行なう場合、種子島からだとフィリピンが落下範囲にかかるので一端東に迂回させてヵら南に向かうという飛行コースを取っています。 このため搭載能力は半減。 また、夏期は東の風に変わるため更に大きく迂回するため更に搭載能力は落ちることになります。 ロシアは内陸部(旧ソ連・現カザフスタンのバイコヌール、今後移転予定)から無人地帯の上空を通し、中国も飛行コースに入っている農村の住民を避難させて山奥から打ち上げています。 このようになるべく自国内で完結させるか海に開けた場所から打ち上げるかがセオリーですが、北朝鮮のように勝手に他国を跨いで打ち上げようというのは確かに大変非常識な行為であります。 確率的には陸地に落下する危険性は低いと言っても、北朝鮮はそんな一方的な道理が通せるような気楽な立場ではありませんし、解ってて煽ってるんでしょうね。 98年の時は津軽海峡上空だったのに今回は秋田・岩手上空ですし、比較的安全な東シナ海に飛ばそうという発想もどうやら無いようですし。

杞憂のような事態に備える [松浦晋也のL/D]

北朝鮮が公開した危険水域から判断する限り、日本領海・領土への落下は、第1段分離、第2段点火直後の、ごくごく限られた時間帯にエンジンが停止するなどの事故が起きない限りありえない。その確率はかなり低い(意図的に日本を狙うなら、小さなノドンのほうが適している)。
北朝鮮も、失敗の場合に被害を拡大しない最低限の良識はわきまえているようだ。

北朝鮮のミサイル発射問題で、北朝鮮関係筋は3日、発射物を制御できなかった場合、「(北朝鮮は)自爆させる」と語った。
同筋は、北朝鮮が2006年7月に発射し、直後に空中分解した弾道ミサイルテポドン2号について、「発射から40数秒後に自爆させた。打ち上げの失敗ではない」と説明。今回の発射でも「失敗したときに自爆させる措置は施してあるはずだ」と強調した。

最後の「はずだ」というのが、ちょっと不気味ではあるけれども、衛星打ち上げロケットには万一のトラブルに備えて指令破壊の仕組みを組み込んでおくのが普通である。あらかじめ「予定のコースや速度をこれだけはずれたら、地上からのコマンドで破壊する」と決めておくのだ。通常は推進剤タンクを火薬で割る。割れたタンクから推進剤が放出され、燃料と酸化剤jが混合して爆発。ロケットは破片となって落下する。

しかし、2006年の打ち上げが失敗ではないというのは、強弁し過ぎ。失敗がはっきりしたからこそ、地上から自爆コマンドを送信したのだろう。彼らが主張する前回の動作実績からすると、北朝鮮指令破壊に関する技術はそれなりに信用できそうだ。

どうやらテポドンにも指令破壊機能は搭載されているようです。 が、遠方の管制機能がまともに整っているかどうかは未知数ですね。

しかし、北朝鮮は国際的に不快なプレッシャーを振りまくことにかけては達者なものである。世界中のどこであれ、宇宙への進出の試みには賛成する私だが、今回ばかりは「射点で爆発して設備ごと崩壊してくれるとうれしい」と思わずにはいられない。

宇宙開発がしたいなら、核の保有も含めて、もっと行儀良く振る舞ってもらわないと、ね。

本心とエクスキューズの入り交じったようなオチですが、そっと同意。