【政界24時】原川貴郎 安保で民主党に“期待” [FujiSankei business i.]

創造力にあふれ、発想も大変ユニーク。民主党の安全保障論議を取材していると、しばしばこんな皮肉を言いたい衝動に駆られる。

北朝鮮によるミサイル発射を受けて開かれた民主党の外務防衛部門会議。防衛省から、発射の誤探知の経緯や秋田、岩手両県に配備された地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の説明を受けると、リベラル系のある議員はこんな意見を真顔で言ったのだという。

種子島から発射するロケットも、日本の島の上を通るのだろうから、これにもPAC3を配備すべきだ」

出席者の一人は、「あきれるというか…。『世界観』が違い過ぎてとても議論にはならない。でも、これが民主党の実態だ」とため息をついていた。

はあ。

これってやっぱ皮肉か何かのつもりでおっしゃったんでしょうかね。 どういう文脈かは知りませんけど、これが脊髄反射だったであろう事はよく解ります。

  • H-IIAなどのロケットには指令破壊(自爆)装置が搭載されている

あまりこれを使う事にはなって欲しくないものですが、H-II系で2度使用した実績があります。 軌道投入が望めない場合にはこれによって機体はバラバラに分解され、あらぬ被害を出さないよう配慮されています。

  • 島の真上は基本的に通らない

こちら↓は最近行なわれたH-IIAロケット打ち上げの飛行経路です。 ちょうど良い具合に代表的な2種類の経路が載っています。

宇宙開発委員会H-IIAロケット14号機の打上げに係る安全評価についてより

これは静止軌道への打ち上げです。 鳥島小笠原諸島の中間付近上空を通過します。 いずれも100km前後離れています。

宇宙開発委員会 H-IIAロケット15号機による温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)及び小型副衛星の打上げに係る安全評価についてより

こちらは太陽同期軌道(極軌道)への打ち上げです。 南のフィリピン近海を迂回するため一端東に出てから南方に飛行します。 一応沖ノ鳥島上空付近を通りますが、無人島なので問題無いでしょうw


こんなふうに、種子島などの太平洋に開けた位置に射場を建設した大きな理由の一つは落下物による被害を極力避けるためです。 飛行コースも人の居住する陸地を避けるように調整されています。 また打ち上げ時にトラブルが起こった場合にも指令破壊装置によって自爆する機能が付いていますので、PAC3の手を煩わすほどの事もありません。 それでも万一の事もある、という話ならまだ解りますが、多分これはMDでテポドンに対応すること自体を批判するために引き合いに出しただけでしょうね。 日本列島本土をモロにまたぐようなコースを勝手に飛ばして嘘八百吹きまくるような所と長年にわたり幾重もの安全対策を積み重ねてきている日本を一緒にするのはいささか失礼ではないですかね。

そういえばソマリア沖の海賊対策をめぐって飛び出した意見にも首をかしげたことがあった。2月初旬の部門会議では、自衛隊の派遣に極めて後ろ向きの議員が「イラクで日本人3人が人質になったとき盛んに『自己責任』といわれたように、ソマリアを航行するのは海運会社の自己責任ではないのか」と主張したのだった。

これも相当極めつけ。 あの時はですね、被害者家族がテレビとかで退避勧告無視を棚に上げて自衛隊派遣のせいだのなんだのと言い始めて叩かれたんですよ。 海運会社が誰かのせいにしてましたか? もちろんどちらのケースも国が責任を持って積極的な保護に乗り出すべきケースだと思いますね。 当然でしょ? 愚にもつかない混ぜっ返しやってる場合かっちゅうの。