JAXAとIHI、GX第2段用LNGロケットエンジンと、試験設備を公開 [Robot Watch]

再び松浦さんによるナイスレポ。先日のフェアリング特集に続きLNG特集となっています。どうやら現在開発中のエンジンは完成の暁にはLEシリーズの一員となるようです。アップの写真が沢山あり。

今回公開されたエンジンは、打ち上げに使用する実際のエンジンと同様に、配管やターボポンプ、ガス発生器などの部品を汲み上げた実機型エンジン。燃焼ガスを噴射するノズル下半分が取り付けられていないことだけが実機エンジンと異なる。

現在実施中の燃焼試験はノズルが外されているそうです。2段目を想定して作られたエンジンですからノズルの開口比による気圧差が生じますしね。

ターボポンプはLE-5系エンジンで使用しているものを、1MPa(約10気圧)と低い燃焼室圧力に合わせて若干デチューンしたものを使用している。ちなみにLE-5B-2は燃焼室圧力が、3.6MPa(約36気圧)である。後からの設計変更でターボポンプなどを装着したので、エンジン重量は約507kg(LE-5Bエンジンの重量は約270kg)と、このクラスのエンジンとしてはかなり重いものになってしまった。

なるほど、供給系だけとっかえてGX用に抑えているんじゃ重量比がかさむわけですね。

近年、LNGをロケット燃料に使うことの利点が世界的にも広く認識されるようになり、諸外国でも燃焼試験が実施されている。しかし、実際のロケットに搭載するエンジンの開発を進めているのは現状では日本のみ。世界的に見て、日本はLNGエンジンの開発で、とりあえずはトップを走っている。“とりあえず”、というのは、燃焼に関する知見の蓄積で大きなアドバンテージを持つロシアが、本気でエンジンを開発すれば、短期間で日本を追い抜くであろうと予想されているからである。

様々な事情に振りまわされ、中途半端な設計となってしまったLNGエンジンだが、世界中でまだ実用化した例のないLNGを使用するエンジンを、日本が世界に先駆けて実用化する意義は大きい。

文部科学省・宇宙開発委員会は、現状のLNGエンジンに引き続き。最初からターボポンプの使用を前提とした次世代のLNGエンジンを開発する方針を示している。新しいLNGエンジンは、より高性能で、軌道上で何度も再着火が可能になる予定だ。ターボポンプの駆動は、ノズル壁面を冷却し、気化したLNGガスで駆動する、エキスパンダー・ブリード方式を採用する。現在、冷却流路にメタンが分解して生成した炭素が付着し、流路をふさぐコーキングという現象や、LNGに不純物として含まれる硫黄が冷却系に及ぼす影響といった、基礎的な物理現象を調べる試験が行なわれている。

いずれにせよ、LNGエンジンは日本の宇宙開発の未来のために是非とも入手しておかなければならない技術である。政治問題化して揉めるGXロケットとは別に、開発予算の継続支出が認められたことの意味は決して小さくはない。

んー同感。これで当面はLNGに注力出来るわけですからいい判断だったと思います。