マリウス丘付近の画像 [JAXA]

マリウス丘付近の溶岩チューブ(縦穴*)とみられる北緯14度、西経57度付近の地形カメラの画像(右下の2枚はMIによる画像)です。

図中矢印の「I」は太陽光の方向を、「V」はカメラの視線方向を表しています。

*縦穴:直径60〜70メートル、深さ80〜90メートル

先日報じられた月の穴の拡大写真色々。マルチバンドイメージャは若干解像度が落ちますが、やはり他のクレーターと比べて明らかに異質ですね−。

かぐや、月面に“縦穴”を発見 [ナショナルジオグラフィック]

かぐやは2007年12月から2009年6月にかけて、月全球の地形を高解像度画像に収めるミッションに従事していた。そしてついに、2008年5月に撮影された画像から、「マリウス丘」と呼ばれる火山活動が非常に活発だった地域に縦穴があることを突き止めたのである。

JAXAの研究チームは、縦穴に通じる暗い部分を何回かに分けて撮影し、1日の間に内部の影がどのように変化しているかを分析した。縦穴の深さを計算するためである。その結果、今回発見された縦穴は深さ88メートル、直径65メートルほどであることがわかった。隕石衝突によるクレーターの場合、そのような深さに達することはまずないという。

また、非常に興味深いことに、この縦穴はリル(裂溝)と呼ばれる蛇行した地上の線状地形の途中にあった。リルは月面のあちこちに曲がりくねって進むように形成されている。リルは、古代に地下で溶岩が流れた跡を示すものと考えられており、現在は空洞になっている可能性が高い。研究チームによると、この縦穴に続く地下洞窟は最低でも幅370メートルはあるはずだという。

初めて観測されたのは昨年5月だったらしい。何回かに分けてというのは、この縦穴らしきものを発見したのを受けて(あらかじめ何度か観測した地点から発見されたというのではなく)でしょうか?(上の画像では「かぐや」のカメラが色んなアングルから観測しているので)
地上の地形を見ても確かに溶岩チューブの跡らしきものが見て取れますね。

月面建築技術のコンサルティング会社「アンドリュー・ダーガ・アンド・アソシエイツ(Andrew Daga & Associates)」の代表で、溶岩洞を月面基地に利用する可能性を調査してきたアンドリュー・ダーガ氏は、今回の研究を受けて次のように話す。

「月面に独立したシェルターを建造するのは技術的にもコスト的にも困難が大きい。しかも、現在の最新技術を駆使しても溶岩洞内部と同等の保護レベルは望めない。長期的に見ても溶岩洞の方が安全だ。大昔から時の試練に耐えているからだ」。

春山氏の研究チームは、縦穴が見つかった溶岩洞の成立年代について、付近のクレーターの数に基づき35億年以上前と推定している。したがって、溶岩洞内部は現時点でも状態が良いと考えられ、近い将来に崩壊する危険性はかなり低いとみられる。

「マリウス丘のような火山地帯は、月面で資源を探すのにも適した場所だと考えられる」と春山氏は話す。月で火山噴火が起こると玄武岩質の岩石が生み出されるからだ。この岩石からは、希土類金属やケイ素、酸素といった資源を手に入れることができる。「かぐやが見つけた地下洞窟は、月面基地として十分利用できると思う」。

かなり昔に形成されたものと思われるらしい。これならかなり丈夫そうです。