GXロケット計画中止、政権交代で「しがらみ」消え [朝日]

GXロケットは2003年に開発が始まったが、液化天然ガスを燃料にした新型エンジンの開発が難航、05年度の打ち上げ予定は延期された。450億円とされた開発費も膨れ、これまでに民間側のIHIが負担した430億円を含め約700億円に上る。

にもかかわらず計画が生き延びてきたのは、宇宙基本法の制定で中心的役割を果たした河村建夫・前官房長官自民党の一部議員の強い意向がある。

計画では、新型エンジンはロケットの2段目に使い、1段目には米国のアトラスロケットのエンジンを採用する。昨夏発足した政府の宇宙開発戦略本部がこの計画を政治判断する過程では、推進側は「宇宙分野での日米協力の関係強化に資する」「(情報収集衛星を打ち上げる)安全保障ロケットとして使える」といった位置付けを強調した。

だが、事業仕分けでは、コストの面から「競争力も乏しく、ビジネス面での見通しも立たない」といった指摘が相次いだ。事業仕分けを受けて開かれた自民党の部会で、河村氏は「苦労して積み上げてきたものや米国を含んだ国際問題といった背景をまったく知らない方々が費用対効果だけでばっさり切っている」と非難した。

河村さんは確かにGXを強力に推してましたね。ただGXを(LNG推進部分を除いて)概算要求に盛り込まなかったのは前政権ですし、河村さん以外は自民・民主とも概ね一致した方針だったはずです。なので今回の決定は既定路線だと思っています。元々「商用」という費用対効果ありきの計画でしたし。

一方、事業仕分けで「続けることの意味があるのか抜本的に見直す」と指摘されたエンジン開発は継続される。

宇宙関係者の間では、液化天然ガスは、漏れや爆発の危険性が低いことから、将来的に様々な用途があるとの声が強い。とはいえ、ロケットが廃止となり、使い道の決まらないエンジンの開発に巨額を投資する意義はあるのかとの疑問は今後もつきまとう。

LNG推進の研究開発へ投資する意義はあります。もちろんそれは下手に使い道を決めてしまったがために商業的に破綻したGXとしてではなくです。曲がりなりにも世界的に見て一番実用化に近い位置に付けていますし、ここで基礎的な技術をしっかり修得しておくと強いですよ。