H-IIAロケット17号機による金星探査機「あかつき」(PLANET-C)の打上げ結果について [JAXA]

プレスリリースが来ています。

三菱重工業株式会社および宇宙航空研究開発機構は、平成22年5月21日 6時58分22秒(日本標準時)に、種子島宇宙センターから金星探査機「あかつき」(PLANET-C)を搭載したH-IIAロケット17号機 (H-IIA・F17) を打ち上げました。
17号機は正常に飛行し、打上げ後約27分29秒に「あかつき」を分離した事を確認しました。

今回のH-IIA・F17打上げ実施にご協力頂きました関係各方面に深甚の謝意を表します。
なお、ロケット打上げ時の天候は薄曇り、北北東の風(2.4m/s)、気温21.2℃ でした。

今回は(結果的に)良い天気でしたねー。

金星探査機「あかつき」の初期運用結果について [JAXA]

宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所ISAS/JAXA)は、平成22年5月21日午前6時58分22秒(日本標準時、以下同)に種子島宇宙センターからH-IIAロケット17号機(H-IIA・F17)によって打ち上げられた金星探査機「あかつき」からの電波を、同16時40分に内之浦宇宙空間観測所において受信し、太陽電池パネルの展開、太陽捕捉制御など一連のシーケンスが正常に行われたことを確認しました。
現在、探査機の状態は正常です。

今後、搭載機器の機能確認、姿勢軌道制御を行いつつ、12月初旬の金星周回軌道への投入準備を進めます。

打ち上げからおよそ10時間後に可視に入った「あかつき」の電波を補足し、パドル展開なども正常に行なわれたそうです。いいよいいよー。

小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS(イカロス)」の運用状況について [JAXA]

宇宙航空研究開発機構JAXA)は、種子島宇宙センターからH-IIAロケット17号機(H-IIA・F17)にて平成22年5月21日6時58分(日本標準時)に打ち上げられたIKAROSからの信号を臼田局にて捕捉し、太陽電池の発電と実証機の姿勢が正常である事を確認して通信を確立しました。
引き続き、各機器の立ち上げを順次行っております。

続いてIKAROSも補足されたようです。またイカロス君によると

とのことで、姿勢制御も正常のようです。

探査機「あかつき」、金星軌道に H2A打ち上げ成功 [朝日]

日本初の金星探査機「あかつき」を載せた大型国産ロケットH2A17号機が、21日午前6時58分22秒、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。約27分後、高度約420キロであかつきを分離し、金星に向かう軌道投入に成功した。H2Aの打ち上げ成功は11回連続、通算で16回。相乗りしていた小型衛星5基も正常に分離された。

そして朝日新聞は今回も見事な空撮動画をアップしています! 

「あかつき」金星へ出発 H2A打ち上げ成功 [中日]

そして今回の17号機は「輪っか」を被っていたようです。荒天が続いて湿気ってましたからねえw これは見事な写真。

初音ミクついに宇宙へ! 「あかつき」打ち上げ成功 [ITmedia]

こちらにも良い写真が上がってますよ。

【H2A】宇宙ヨット「イカロス」も予定軌道に [産経]

東大などの共同事業体が開発した「UNITEC−1」も予定軌道に入り、金星へ向かった。

大学が開発した小型衛星は創価大の「Negai☆”」、鹿児島大の大気水蒸気観測衛星「ハヤト」が、それぞれ地球を周回する予定軌道に入った。早稲田大の「WASEDA−SAT2」は地球周回軌道に投入されたものの、詳細の確認は22日未明にずれ込む見込み。

相乗り小型衛星たちも概ね元気のようですが、WASEDA-SAT2はノイズなどの影響でちょっと電波が補足しにくい状況のようです。

17号機打上げ動画 [H2A/H2Bロケット打上げレポート]

いつもお世話になっているh2a_f8さんからも打ち上げの様子を撮影した動画が届いております。これは本当に凄いですよ。公式映像化と見紛うほど迫力あるクオリティ。輪っかもちゃんと写っています。あの逆光でここまで正確に追尾したのも凄いですね。

解説:H2A打ち上げ成功 ビジネス化に課題 国の支援欠かせず [毎日]

うむ。

これまでの17機はすべて、日本政府が作った衛星などを運ぶ、いわゆる「官需」による打ち上げだ。07年、打ち上げ業務が宇宙航空研究開発機構から三菱重工業に民間移管されたが、顧客と当て込む海外の衛星打ち上げ受注は、来年予定される観測衛星1件のみ。打ち上げビジネスの主力を担う通信・放送衛星市場へは、いまだに食い込めていない。

なぜなら、H2Aには技術以外の制約が多い。発射場がある種子島の空港は滑走路が短いため、大型の人工衛星の空路搬入ができない。漁期を考慮し、打ち上げ可能な時期を年130日に限っていることも障壁だ。

コストの問題もある。民間移管で低減を狙ったが、1回約85億円とされる打ち上げ費用はなお他国より割高で、国内の衛星事業者は打ち上げを国外に依頼している。官需依存を続けるとしても、政府の宇宙開発予算は縮減傾向。年間1、2機の打ち上げにとどまれば、低コスト化はもちろん、H2Aの製造ラインや熟練した技術者の維持も難しくなる。

確かにピンでの商業受注が欲しいですよね。その為にはまずKOMPSATをしっかりと打ち上げるのが目標ですが、根本的にはやはり島内のインフラをもう少し頑張って整備する必要がありますね。今回南種子に開通したバイパスを通る機会がありましたが、あれでかなり楽になりましたよ。自分を含め三半規管の弱い人にとってもかなりの朗報w 空港周りも切実ですね。
打ち上げ費用については、ロケット自体はあのクラスにしては安い方だと思いますが静止衛星をデュアルするのには厳しいため衛星1機当たりの費用低減がどうしても頭打ちなんですよね。やはりある程度は費用分担など国の支援が必要になってくると思いますが、その辺の話の進展具合はまだ耳にしませんね。やはりH-Xでしょうか。

各紙社説

あかつき出発 新時代を切り開く惑星探査(5月23日付・読売社説) [読売]

日本の宇宙予算は米国の10分の1程度にとどまる。巨額の予算が要る有人ロケット開発は難しいものの、惑星探査なら知恵を絞れば十分に取り組める。

あかつきも、開発費は146億円と通常の人工衛星程度だ。

ロシアに学んで有人ロケットまで実現した中国も、宇宙ヨットのような、日本のユニークな技術に関心を持っている。

ただ、あかつき後の惑星探査計画は、予算の制約で具体化が遅れている。新たな技術で、宇宙のより遠くへ、挑み続けたい。

確かにこの後がなかなか続きません。BepiColomboは共同ミッションですし、PLANET-Cがプロジェクト化されたのって何年前でしたっけ…? ネタはSLIMもSELENE2もはやぶさ2もMELOSもあります。ヘタすると後続計画が10年以上空いちゃいますよね。低コストでありながら予算に苦しむというよく分からない状況の科学衛星ですが、IKAROSといったエポックメイキングなプロジェクトで大いに刺激して欲しいものです。

社説:「あかつき」出発 科学探査の魅力伝えて [毎日]

地球の重力圏を脱する日本の探査機としては、小惑星探査機「はやぶさ」や、月探査機「かぐや」が活躍してきた。しかし、太陽系の惑星を訪ねる旅は、12年前の火星探査機「のぞみ」以来となる。しかも「のぞみ」は、火星軌道に入ることができずに終わった。今度は無事到着し、金星の未知の姿に迫ってほしい。

過去には、米国などが金星に探査機を送りこんでいるが、気象に焦点をあわせた探査機は初めてだ。06年から金星の極軌道を周回する欧州の探査機は大気の化学組成を専門とする。両者が補いあい、金星の実像を明らかにしてほしい。

火星探査機「のぞみ」も実は火星上層大気を観測する衛星で、その役割は「あかつき」と血を分かつものだと言えます。いずれの惑星もこういった探査はあまり行なわれていないそうです。見事なリベンジを期待したいですね。

【主張】「あかつき」金星へ 世界一へ力の見せどころ  [産経]

畳まれているイカロスの帆が開き終える1カ月後が楽しみだ。加速はゆったりとしているが、半年後には、かなりの速度に達する見込みだ。成功すれば、エンジンも燃料も不要で、太陽の光を風のように受けて走る宇宙帆船への道が開ける。日本の技術による「宇宙大航海時代」への船出である。

宇宙開発は実利用とビジネス展開だけに目を奪われると、発想が小さくなりかねない。そのことを今回のあかつきとイカロスで再確認したい。世界一への挑戦だ。

ちょっと大仰ではありますがw、特にIKAROSは海外からの注目度が高く「船出」と呼ぶに相応しいミッションだと思います。帆を上げる瞬間が待ち遠しいですね。