「はやぶさ」試料回収カプセルの再突入結果について(速報) [JAXA]

うーん、ど真ん中ですねこれは。何という鬼精度…。

祝帰還!「はやぶさ」7年50億kmのミッション完全解説【その5】 [ASCII]

連日の鬼更新。相変わらず濃い。

齋藤 タッチダウンフェーズのとき、私は体重が3ヵ月で12kg減りました。食べて、飲んでいてもそうなんですよ。同じような方はほかにもいらっしゃいました。精神的な重圧としか言いようがないですね

それかなり危険な域じゃないですか… やっぱ相当すり減らしてるんですね。

NASAができない、怖くて手を出せないようなことにどう切り込んでいくかを考える。NASAがやったことを10年後に後追いするとか、世界で2番目、3番目だけど、そのぶん少し性能がいいとか、そんなことをやっていたらぜんぜん追いつけないですよね。

はやぶさ」が世界で評価されてるのはまさにその点で、NASAからすれば『できるわけないだろう』と思っていたわけです。昔の(NASAの)同僚などからも、やんわりとですけどそういう意味のことを言われました。「まあがんばってね。Good Luck」「良い写真ができたら送ってくれよ」なんてね(笑)。

何となく想像出来そうではありますがw、まあそれは技術力だけの話ではなくマンパワーとかそういう所も含んでそうですよね。「お前ら大丈夫か?」みたいな。

NASAだったら、深宇宙に行って、小惑星を探査して、物を取って還ってくるなんて、3つか4つのミッションに分けますよ。そしてそのひとつひとつに日本の3倍くらいの予算が付くでしょう。傍から見れば、この人数、この金額で、これだけのことを直列につなぐなんてクレイジーだと。

実際そうしてますしね。ガリレオ木星探査の前にフライバイ)、NEARシューメーカー(ランデブー・後にタッチダウン)、スターダスト(フライバイ・サンプルリターン)、DAWN(ランデブー)、OSIRIS(タッチダウン・サンプルリターン/計画中)。イオンエンジン実証機を加えるとディープスペース1(フライバイ)も加わります。書いててクラッとしてきたw

そういうことに気付かせたというのはいいな、と僕は思っているんです。「エンジンを使って航行している」という気がするでしょ? ほんの少ししか軌道は変わってないんだけど(笑)、エンジンを使って航行しているというのはやっぱり違いますよ。そういう意味では、世界中に影響を与えていると思います。
NASAだって今、有人の小惑星探査を提案しています。「はやぶさ」が飛ぶ前は、有人小惑星探査なんて誰も言ってなかったことを考えると、結局影響を与えているんですよね。小惑星に対する宇宙探査、それに火をつけているのは「はやぶさ」ですよ。

これはホントそうですね。松浦さんあたりが何か言ってるなーと思ってたらあれよあれよとw

的川 イオンエンジンを使って精密誘導をやるというのも、本来は鉈でヒゲを剃るようなものなんですけどね。

國中 ケミカル(化学エンジン)が使えないのでイオンエンジンで精密に誘導しなければならない。この先も大変だなとは思います。ここからは、エクストラ、エクストラ、エクストラサクセスですから、まあがんばってやるしかないですね。

川口 カプセルの再突入ってそんなに簡単じゃないんです。カプセルの再突入自体が当初計画(4年間)で五分五分の勝負。実際はもう3年余分に飛んでますから、いろんなところが動かないかもしれない。カプセル切り離しの部分ひとつとっても、ちゃんと動いてくれるかどうか。

ここらへんはこの後で全て成功させちゃった部分ですね。なんともまあ、途方もない執念深さを感じます。

だから、カプセル全体が再突入して回収できるとなったら、どういうかたちであれ大成功だと僕は思います。ちゃんと試料回収を……という人がいるかもしれませんが、それは高望みですよね。実力をよく考えてみればわかる。まあ4:6、3:7くらいでだめかもしれない。それぐらい大きなジャンプなんですよ「はやぶさ」は。

再突入の技術もそうですが、今後サンプルリターンをやるにしろ、先の将来……もっと大型の探査機を打ち上げたり、宇宙船が太陽系を動くようになってきたときに必ず要る技術なんですよね。どこかで開発しなければならないので、これをやっているわけです。

うむ、であります。手法の道筋を立てるのがこの計画の意義な訳で、言わばだいたいあってれば実験として成功なんです。それだけリスクの高い計画であって、トラブルを克服する過程も成果になる。失敗か成功かという二元論的で大雑把な判定を下すのはそれを埋没させてしまう危険性がある。もちろん、問題点を置き去りにして過剰に持ち上げすぎても同様だと思いますけどね。

――プロジェクタイルの発射をもう一度やってみたいというお話があったそうですが。

川口 カプセルを分離するとき、火工品をふたつくらい動作させてるんですよね。火工品が長時間経っても動作するかについては、それでわかりましたから、あえてそれ以上無理する必要はないわけですね。

そしてカプセル分離後は姿勢の安定に時間がかかったので、そこで撃ってしまうと、ひょっとしたら電力不足で死んでしまう恐れがあったので、自殺させることはないと。

ここは追記の部分。どうやらカプセル分離後の擾乱立て直しのため実行されなかったようです。

國中 意外なことに、「はやぶさ」の再突入カプセルは、輸出入扱いになっちゃうんですね。日本からロケットで打ち上げて、法律のない宇宙に飛ばして、それがある日突然、オーストラリアに輸入されるんです。

で、オーストラリアで手続きをして、もう一度日本へ飛行機で輸出入する。宇宙経由の輸出入というのはほとんど前例がない上に、出発したのは7年前(笑)。宇宙に行っちゃったきりならいいんですけど、なんだか浦島太郎みたいなことになっちゃうんですよ。

ややこしい話ですねw なるべく気圧の差に晒したくないから一発で日本に届けたいとか、相当気を遣っているようです。

最初の1年間に行なう初期分析はどのようににやるか、ということも散々議論しました。まずは限られたメンバー、チームで分析して、最初のキャラクタリゼーション、たとえば色や、重さ、大きさがどれくらいとか、メジャーな元素はどうかなど、基本的な分析を行なおうと。その結果を全世界にアナウンスする。

それに基づいて世界の学者が、テーマを決めて、「こういう分析をやってみたい」というのを公募するわけですね。それに対して、審査委員会を作って審査して、サンプルを分け与える形にしようと。

微量だった場合の取り分とかはまた調整しなければならない部分。

的川 そこはいろんな評価があってしかるべきで、アポロ計画のようなプロジェクトでも、「あんなにお金使ってまで行く必要はなかった」なんていう人もいるくらいです。

はやぶさ」という計画自体は、工学実験探査機という位置づけですから、小さな天体に行ってサンプルを採ってくる「技術を養う」ということですから。そのノウハウが、日本にしっかり定着すればいいのです。

そして「はやぶさ」2号機のようなものをやったとき、もっと確実に習得できればいい。はからずも、試験探査機でここまでやるとなると、うまくいき過ぎたくらいだと私は思いますよ。

サンプルは、もちろんあるに越したことはないですが、あればもう試験探査機の域を越えた大成功になるので、私からすれば(サンプルが入っていなくても)次にこうすれば採れるね、とチームに対しては言ってやりたいですね。

大いにうむ。