ヘラに付着した微粒子の回収方法を検討中 [松浦晋也のL/D]
本日午後3時半から、JAXA東京事務所ではやぶさサンプルの回収状況についてブリーフィングがあった。
本日から、8月一杯まで原則として月曜日の午後に定期的なブリーフィングを開催するとのこと。どうやら、新聞・テレビ局が、「まだか、まだか」と相当な頻度で電話取材をかけたらしい。
なんで今ブリーフィングなのかと思ったら、マスコミがせっつくから定期的にやる事になったのだそうです。なんとなく想像出来ますがw、まあ興味を持たれているというのは悪くはない事だと思います。
読売新聞
何が困難なのか。向井
微粒子は静電気でヘラに付着している。それを除電といって、紫外線を当てたりアルファ線をあてたりして電荷を除去して、マニピュレーターで取り出す。これがかなり大変な作業で、しかも見つかっている微粒子の大半は地球由来ではないかと予想される。そこでもっと効率的な方法はないかと検討している。毎日新聞
とすると、まだヘラでなでた部位は、サンプルキャッチャー内の平らな部分だけということか。向井
そうだ。
共同通信
電子顕微鏡を使わない方法で、イトカワ由来の微粒子をより分けることは出来るのか。向井
電子顕微鏡が一番よく見える。電子顕微鏡自身が電子ビームで試料を汚染するので、使い方はよくよく考えねばならない。東京新聞
放射線や紫外線は、まとめて当てるのか。それとも一個一個の微粒子に宛てるのか。上野
まとめて当てる。向井
その後の微粒子の回収が大変なのです。また、光学顕微鏡の分解能以下の数ミクロンの粒子も管理できないかとか、とにかくどんどこどんどこ進めていって取り返しのつかないことにならないようにしないといけない。東京新聞
個数は数十個とというのはどれぐらいか。八十個とか。向井
二三十個です。八十個ということはないです。
日経新聞
今のところの作業状況はテフロンのヘラに付着した微粒子を回収している状況といえばいいのか。向井
その通り。回収方法について検討しており、具体的な手法を試験しているところである。
毎日新聞
サンプルキャッチャーのB室を開けるのはいつ頃になるでしょうか。向井
まだなんとも言えません。回収方法を再検討しているところなので、しばらくお待ちください。NHK
予想外に大変だというのは、何が予想外だったのか。向井
一個一個マニピュレーターで拾い上げるのが大変だし、ヘラについたすべての微粒子を拾い上げるのも大変だ。当初は石英の皿に番号を振って一個ずつ微粒子をおいていく準備をしていたが、それはあまりに大変なので別の方法を検討している。
東京新聞
回収と並行している作業はあるか。ガス分析とか。向井
ガス分析や初期分析の一環として行うので、まだだ。コンテナのほうは内部を顕微鏡で細かく見ている。より細かい物質が見えているが、見えているものと同じようなものだ。優先順位は低いので、微粒子がどこに付着しているかマッピングを行っている。
青木
今の予定は遅れ気味なのか予定通りなのか。向井
予定通りです。いくらリハーサルをしていても初期は試行錯誤があるものです。青木
リハーサルと違った点はどんなものがあるか。向井
例えばリハーサルではもっと大きな粒子を扱っていた。今後の状況次第では9月からもっと遅れるかも知れない。予定としては半年をめどとしているが、あくまで予定である。
想定していたよりも微粒子の採取作業が大変なので効率の良い方法を検討しつつ、ヘラに付着した微粒子を回収しているところだそうです。まあ焦って手違いを起こしたら本末転倒なのでじっくりやって欲しいですね。