「はやぶさ」次代は26歳、新事業、身近な才能に活路 [日経]

 60億キロメートルの旅を終え地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」。後継機に搭載するイオンエンジンの開発が静かに進む。責任者はNEC東芝スペースシステムの碓井美由紀。入社3年目の26歳だ。「技術を磨いて先輩に追いつきたい」

 目標とするのは初代イオンエンジンの開発を指揮したNECの堀内康男(46)。碓井を後継に推した本人でもある。NEC社内ではイオンエンジンの技術が途絶えそうになった時期がある。その際、技術伝承のために採用したのが東京大学大学院でイオンエンジンを研究していた碓井だった。能力は未知数だが、「私よりも分野によっては知識がある。優れた技術者になってくれるはず」と堀内は期待を込める。そこには20年前の自分の姿が重なって見えているようだ。

 NECは宇宙探査に使うエンジンを開発するため、当時大学院を出たばかりの堀内を採用した。社内にノウハウはない。堀内は部署を超えて人材を探し回った。集まったのは専門分野の異なる4人。上司は成果に口を出さず、開発費の確保に尽力してくれた。

 はやぶさは様々なトラブルを乗り越え、想定の2倍の稼働時間に耐えた。社長の遠藤信博(56)は「チームの一体感」を成功の要因にあげる。堀内は開発を後輩に託し、イオンエンジンの事業化を急ぐ。近く米社との協業を始める。

若いですねー。いいですねー。(?) メーカー内でものうはうの継承には苦労しているらしい。なんせはやぶさ一つ取っても基礎研究から含めると10年20年というプロジェクトですからそうそうコンスタントに出来る事じゃないし、一度途絶えてしまうと取り戻すのはなかなか難しそうです。事業化には是非成功して欲しいですねえ。

関係者からのメッセージ 画像の思い出 [JAXA]

8、9月頃。イトカワに到着し異様な姿が露わになると、皆と同じく私も度肝を抜かれました。ホームポジション(距離7km)に着くとまず、形状把握のために自転でイトカワの向きが変わるごとに画像が撮りまくられました。2つ目のリアクションホイール(RW)が壊れたのはその直後です。RW故障はその後に大影響を与えましたが、この日までもったことだけは不幸中の幸いでした。カメラ関係者間で「間に合いましたね」と安堵しあいました。

イトカワへ降下を試みたときのこと。私達は、数分おきに受信する画像(航法ダンプ画像)を解凍・モニタ表示させる作業をしていました。やがてイトカワの一部に丸く明るい領域ができはじめました。これは、天体・観測者・太陽が一直線に並ぶとき明るくなる「衝効果」という現象です。ところが、その真ん中は逆にぽつんと暗くなっています。これなんだろう?

ふと、石黒さんが「これ、「はやぶさ」の影では?」と言いました。探査機の影!! 衝撃でした。私はかつて数百km遠方で撮影された月探査画像を扱っており、その先入観から想像もしていませんでした。自分の迂闊さにあきれます。それにしてもこんなものを見るのは皆初めてで、接近して太陽電池パドルの形まで見えると皆さらに興奮です。これらの画像のひとつがNASAの「今日の天文写真」(Astronomy Picture of the Day)に紹介されたことも思い出です。

そして地球を撮ったONC-W2画像。AMICA/ONC画像は着陸時が最後と思っていただけに、再び会えて感慨深いです。せめて最後にと思い、私は橋本先生にお願いしてこの画像に簡易的な迷光・スミア補正をさせていただきました(http://www.isas.jaxa.jp/j/topics/topics/2010/0618_2.shtml)。味わいある元画像に加えて観賞していただければ幸いです。

AMICAで観測したイトカワの画像。あれのおかげで「はやぶさ」にハマり宇宙開発にハマり… そしてONC-W2で撮られたラストショットの地球画像。本当に素晴らしいものを見せてもらいました。そしてあの地球画像をクリアに補正したのはこの方だったそうです。