努力しても結果がでなければ駄目 - はやぶさイベントで川口プロマネが講演 [MYCOM]

最近マイコミでナイスレポな小林さんによるJAXAiでのトークイベントレポ。カプセル公開初日の川口先生と吉川先生の講演の模様です。

そこで出てくるのが神頼みですが、例えば2009年に中和器が不安定な時期がありまして、2009年11月26日に岡山県真庭市の中和神社に行きまして、お札を購入してきました。神社の宮司さんもはやぶさのことをご存知でして、感激したのを覚えてます。ちなみに一言言っておくとJAXAの仕事は公的な事業ですので、政教分離の原則に従う必用があるので、こうした神頼みはあくまで個人的なベースで行っているものです。実は、そういう取材を受けたことがありまして、JAXAとしてではなく個人的な活動という説明をさせていただいております。

政教分離ですか。まあ地鎮祭などですらそう言って絡んでくる人達はいますからねえ。

今日の講演では、大変ご不幸なことに、私の拙い歌(和歌)を読んでもらうことになりました。何回か講演をしてきましたが、いずれも公演時間の関係上、これを公開するのは避けられてきましたが、ここでお見せすることになりました。

そういえば相模原でもチラリと見えましたねえw

そのため、NASAと一緒に小惑星ランデブーや彗星ダストサンプルリターン計画は共同で研究しており、我々ビギナーですから、ビギナーにふさわしい探査を目指していたんですが、NASAがそれを新しい計画として立ち上げてしまったんです。その時、思い知ったのは、結局、新しいことをやろうと思えば、NASAも躊躇うような計画でなければ駄目なんだということです。したがって、「MUSES-C(はやぶさ)プロジェクト」というのは人類初の挑戦となりましたが、とにかく、新しいことに挑戦するということをしなければ、我々のオリジナリティは発揮できないだろうと思いました。

ただ、色々とはやぶさでは成果を出し、さまざまな教訓も得て、技術よりも根性という言葉もでました。それも運を実力に変える先端技術の達成があったこと、これは強調しておきたいですね。はやぶさが帰ってこれたのは実力かと聞かれると、"正直なところ幸運です"と答えます。ですから、今は幸運で良いと思います。幸運でできたことは恥ずかしいことではありません。しかし、この幸運を実力に変えることが次のチャンスなんですね。これで本物になると思っています。

何もしなければ幸運も不運もありませんし、上を見て諦めるのではなく更に高みを目指す、その不屈さが呼び込んだ成果であり、それを一過性のものにしてはいけません。

はやぶさの成果を一言でいうと、地球接近小惑星がクレータに覆われたボコボコなものではないということが最大の発見であると思っています。仮にイトカワを半分に切ってみると、一度、バラバラに別れた天体が衝突、合体してできた、つまり中に空洞があるのではないかということがはやぶさの探査によって分かりました。

当然、この後、サンプルが分析できれば、さらに新しいことが分かってくるということで、あのような直径500m程度の小さな小惑星に行ってもしょうがないということが他の宇宙機関にあったのかもしれませんが、日本が初めて行ったことで、まさに米国も欧州も似たようなミッションをやりたいと言い出し始めたくらいですから、本当に日本が最初にこういう天体に行くというスタートを切ったのは良かったと思っています。

ここから吉川先生。あまり小さい小惑星には関心が持たれていなかったけど行ってみたらめちゃくちゃ面白かったという話はよく耳にしますね。

専門的に言うと、イトカワはS型で、はやぶさ2はC型と呼ばれる、割と有機物や鉱物の中に水が含まれている天体に行きたいと考えています。そして、Mk2ではD型の天体、D型はまだ物質がよくわかっていない天体です。S型とC型の隕石は地球によく落ちてきており対外のことは予想がつくのですが、D型はほとんど隕石が落ちてきていないので、未知の物質であり、将来的には、そうしたより遠方からのサンプルリターンを狙いたいと考えています。

S型、C型、D型について、それぞれ調べていくことが太陽系を調べていく上で重要になります。M型という天体もありますが、これは鉄が表面にある惑星。一度惑星になって、中心にコアができて、それが隕石などの衝突によって表面に出てきたものではないかと考えられており、これも面白い天体だと思っていますが、今のところ、より始原的な、太陽系の初期の物質に迫る方針で、S型、C型、D型と調べていくことが考えられています。

C型もそうですが水分が存在するというD型も面白そうですねえ。

川口:具体的な準備はしてないですね。ただ例えば化学燃料も、(イオンエンジンの推進剤の)キセノンも倍以上積んでたんです。どうしてそんなに積んでたんですかとよく聞かれるんですが、一番大きな理由は、ロケットも一緒にやっていて、ロケットの方のトラブルもフォローしないといけないということが頭にあるんです。M-Vの4号機が失敗しましたけど、(はやぶさが打ち上げられた)M-Vの5号機は第2世代へと切り替わっていて、M-V 4号機の改修ではないんです。そのため、ロケットの方も新技術がてんこ盛りで、例えば最後のキックモーターが伸展ノズルの展開に失敗したときとかをどうなるか、とかを考えると恐ろしいんですけど、ひょっとすると、そこも救わなくてはいけないということを考えるんです。

何事も無駄ものはないんですねえ。ただその分、製造担当のNECの人達は随分苦労されたようですw 最期のリアクションホイールが逝った時用の姿勢制御プログラムもちょっと見てみたかったですが、それだとあのラストショットが更に難しくなってたかもしれないのでやっぱりいいですw

阪本:今、"あかつき"が順調に飛んでて、広報担当としては、少しハラハラさせてくれたほうが、盛り上がって良いんですけど。嘘です。

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