はやぶさ最後の輝き、満月の倍の明るさ 国立天文台観測 [朝日]

 渡部教授ら10人は豪州中部の砂漠に入り、秒速12キロで再突入したはやぶさを撮影。爆発を繰り返しながら粉々になった光は想像以上に明るく、カメラが記録できる上限を超えてしまったが、ゴーストの写り方から最大マイナス13等ほどだったことが分かった。中秋の名月はマイナス12.4等。星の明るさは1等違うと約2.5倍になるため、2倍ほどだったという。

 一方、光の波長から、複数の金属の成分も観測された。はやぶさ本体のように、成分があらかじめ分かっているものが再突入する光と比べることで、天然の流れ星の組成を詳しく調べられるようになるという。

満月の2倍というとかなり具体的で分かりやすいですね。かなりの眩しさだと思います。今は丁度満月なので、見比べるにはうってつけですね。

はやぶさ、満月超える輝き 大気圏突入時を観測 [共同]

 時間ごとに光の波長の変化を調べると、はやぶさ本体が爆発的に明るくなり始める直前から金属が燃える際の特徴的な光(輝線)が見え始め、本体が分裂しながら金属部品が一挙に気体になって蒸発したことが明らかになった。カプセルの表面温度は約3千度に達したことも判明した。

 同天文台渡部潤一教授は「これほど鮮明に“人工流れ星”が観測できた例はない。天然の流星の成分を分析するための貴重なデータになる」としている。

散ってなお貴重なデータを与えてくれる、実に粋な奴ですね。

はやぶさ探査機の大気圏再突入の地上観測 [国立天文台]

こちらにプレスリリースが出てました。

 発光のスペクトルを得るために、われわれはグリズムと広角レンズによる低分散分光観測も行い、はやぶさ本体とカプセルのスペクトルと、その時間変化を得ることができました。分光しているために爆発時にも観測限界に達していないデータが得られており、それらは上記1,2の項目にも活用しました。本体が爆発的に明るくなり始める直前から、すでに金属と思われる強い輝線が見え始めていて、はやぶさ本体が分裂しつつ、各部品が一挙に昇華・蒸発している様子が明らかになりました。一方、耐熱シールドで守られたカプセルの放射は、空力加熱による衝撃層放射のほうが、カプセル表面(アブレータ壁)の黒体放射より卓越していました。

 破片のデータも明るく、観測限界に達しており、その面積から明るさを推定するなど、一連の導出プロセスにはかなりの誤差を含んでいます。それでも天然自然の流星や彗星が分裂して破片になっていく場合のサイズ分布関数のべき指数(73P/シュバスマン・バハマン彗星の分裂破片の観測結果:2.1-3.3(Ishiguro et al. 2009、Fuse et al. 2007))などに比較すれば明らかに小さいものです。これは探査機本体が大気中で分裂を繰り返しつつも、人為的に作られた最小部品のサイズが有限であるためと解釈できます。逆に流星体は、もっと大小様々なサイズの固体微粒子の集合体であることが示唆されます。

構成素材、突入速度や角度、タイミングがすべて分かっているこれだけ大質量の「流星」を観測出来るのは非常に貴重な機会だと思われますので、とてもいい知見が得られたようですね。


以下の記事に動画も載っています。