月探査衛星「嫦娥2号」打ち上げ 中国、建国記念日に [朝日]

 【広州=小林哲】中国2機目となる月探査衛星「嫦娥(じょうが)2号」が1日午後7時(日本時間同午後8時)ごろ、四川省の西昌衛星発射センターから打ち上げられた。約5日後に月面から100キロの周回軌道に入り、月面の立体撮影などを行う。1日は中国の建国記念にあたる祝日で、中国の宇宙開発技術の高さを国内外に示し、国家の威信を強める狙いがあるとみられる。

 前回、2007年に打ち上げた1号の時より性能を高めたロケット「長征3号C」を使い、月軌道まで約2週間かかっていた行程を約5日に縮める。日本が07年に打ち上げた月探査衛星「かぐや」とほぼ同じ距離から、精度を高めた立体カメラで月面を撮影。中国が13年までに打ち上げる次の3号で行う探査機の月面着陸に欠かせない着地点の地形データを集めるほか、鉱物資源の分布などを調べるのにも役立てる。

 中国中央テレビは夜のニュース番組のトップニュースで打ち上げ成功の模様を全国に生中継。この日あった建国61周年の祝賀行事とともに大々的に報じた。


というわけで無事に打ち上げに成功したようです。

「嫦娥2号」、全月面写真は撮影せず [人民網]

 月探査プロジェクト地上応用系統の劉暁群総指揮によると、月探査衛星「嫦娥2号」の寿命は半年であり、全月面写真の撮影は行わないという。

どうやら今回はあくまで嫦娥3号のためのピンポイント観測が主目的になるようです。

 2008年11月12日、「嫦娥1号」から転送された中国初の全月面写真が正式に対外発表され、世界でこれまで発表された中で、最もクリアで完全な月面画像となった。

まあその直後に「かぐや」でごっそり塗り替えたんですけどね。というか中国のそのデータは一般公開されてないんですかね。運用にあたり協力したESAには提供してると聞きますけど。ちなみにあまり分解能を上げすぎてもその分逆に全球観測するのに時間が掛かりますし、月周回軌道は低軌道だと衛星の寿命が短くなりますので、その辺はどっちを取るかという取捨選択になります。

10/10/01: 嫦娥2号の「最後」について3つのオプション案=新華社 [月探査情報ステーションブログ]

まだ打ち上げられていない嫦娥2号ですが、既にその最終段階について、3つの案が検討されていると、新華社が報じています。

これによると、嫦娥2号の探査が終了した時点で

  1. 「かぐや」などと同様、延長探査を行った上で、最終的に月面へ落下させる。
  1. 衛星の軌道を変えて、深宇宙探査機とする。
  1. 地球トランスファー軌道に投入し、地球の衛星にする。


というもののようです。
特に3つめの方法はこれまでどこの国も行っていない方法であることから、実現の可能性はともかくとして興味深いものです。また、月から戻ってくるというのは、将来的なサンプルリターン(嫦娥4号)で計画されているだけに、その基礎実験としても可能性は高いでしょう。

2つめは、月探査衛星クレメンタインで構想されたことがありますが、実際にはクレメンタインは軌道上でエンジンを起動した時点で探査機が通信途絶したため、こちらも成功していません。

このいずれの方法になるかはわかりませんが、最終的には燃料の残り具合などを見ながら決めていくことになるとみられます。

こちらはどれもなかなか面白そうな話。1号の時に同じような話を耳にした時はそれは厳しいんじゃないのと思いましたが、今回の半年間のミッションなら随分推進剤が残せそうなので実現性はあるように感じますね。どれも工学的に意義があると思います。

中国が2機めの月探査衛星打ち上げへ 付近住民は避難 [CNN]

北京(CNN) 中国は月探査衛星「嫦娥2号」の打ち上げに備え、付近の住民2000人以上を避難させる。英字紙チャイナ・デーリーが29日に伝えた。
嫦娥2号は中国の国慶節にあたる10月1日前後に打ち上げ予定。南西部の四川省にある西昌衛星発射センターの発射台から2.5キロ以内に住む住民は、万一の場合に備えて避難させるという。

避難させるのは当然ですけど、射点から2.5km以内に何千人も住んでるってのはどうなんですか。普通は根本的に立ち退き願うと思いますが… いやまあ、種子島でも3km規制圏内に数世帯住んでるとは聞きますけど、あの広い国でこれは不思議です。


あと今回ニコ生で見てたんですが、リフトオフの瞬間に8時のお知らせが盛大に入って正直笑ってしまいましたww あれは見ていた中国人は絶叫ものじゃないですかね… 自分なら確実に頭抱えてますw 今回はCCTV英語版と2窓してたのでセーフでしたが。