はやぶさ:持ち帰った微粒子860個に JAXA [毎日]

本日定例のブリーフィングが開かれ、岩石質の微粒子がさらに確認され800個を超えたそうです。

 JAXAはテフロン製ヘラ(長さ6ミリ、幅3ミリ)で、小惑星イトカワ」の物質を集める小部屋の内壁をこそぎ、電子顕微鏡でヘラに付着した物質を調べている。約3週間でヘラの半分を調べた結果、ケイ素やマグネシウムなどを含んだ直径0.01ミリ以下の微粒子が約800個見つかった。はやぶさ打ち上げの際に混入した桜島(鹿児島県)の噴煙か、イトカワ表面のちりかを見分けるには、詳細な分析が必要という。

マグネシウムも含まれている模様。

はやぶさウィークリーブリーフィング第10回(速報版) [大塚実の取材日記]

大塚さんもレポっておられます。

A 一部の写真の中にはマークしてないものもあったが
チェックして数はどんどん増える

ルーチン化してきたので
1日100個くらい増える

A 今までやったのは1個だけ
同じ場所を何度かこすっている
何度こすったかは憶えてないが
ヘラは1個

ヘラのついた状態だと分解能を良くできない
いくらルーチン化しても3週間はかかる

Q A室は何割くらい終わったか

A 2割くらい
前回話したように
回転棟の半分をやっただけ
まだ横のカベもある
3割は終わってない

A A室の別の場所をこする作業をするのか
それとも
岩石室以外に
マニピュレータで採取したものは
もう少し大きい
それを電子顕微鏡で見てからB室に行くか

それは判断がいる
NASA側の研究者も含めて次ぎどうするか相談しているが
少なくとも10月中ということはなくなった

Q いつくらいに

A いつまでにということはない
競争相手もいないので

ただ関心も高いので何年も先に引きずるわけにもいかない
いつとは言えないが
今のままのペースだとA室だけで何年もかかる
それはできない

Q 素性は
蛍光X線を見るとか?

A そう
帯電の問題とかあるので
電子ビームのエネルギーを低くしている
何ミクロンくらいのものしか見れてない
それでもそのくらいの数

A 使っているビームが弱い
鉄があっても見にくい
いまの段階ではあるともないとも言えない

マグネシウムは一部検出されているとか
そういうのはある
しかし定量性はないので
こういうものがあったとは言えない

B室を開けるか
A室を続けるか
侃々諤々の議論

B室を開けたときに
A室の微粒子が入る可能性はあるだろう
多少隙間があるので
逆にいま見ている微粒子はB室からきたものかもしれない
A室B室というのは今は意味がない

新型ヘラで同じ所を何度かなぞってそれを半分くらい調べたところのようです。岩石質の微粒子がかなりザックリ取れて更に大変なようでどのへんで一段落付けるかが悩み所のようですが、いずれにしても楽しみです。あと最後に触れられているようにサンプルキャッチャーのA室とB室には若干の隙間があるので(といっても単純な構造ではないですが)、もしかしたらB室にあるものがA室に紛れ込んだのかも…という話もありますが、いずれにしても重要なサンプルなのでA室だけでも出来る限りの事はしておきたいところですね。

【科学】イトカワの微粒子 12月にも本格分析始まる 発見なら月以外で世界初 [産経]

 初期分析の手法は3種類に大別され、鉱物の種類や結晶構造、同位体比などを詳しく調べる。最初に行うのは、大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県佐用町)などでの非破壊分析だ。放射光で微粒子が含む鉱物の種類を調べ、3次元分布を明らかにする。

 続いて、電子顕微鏡同位体顕微鏡による分析を同時並行で行う。そのため各微粒子は部分的に1万分の1ミリ以下の厚さで何枚かの切片にスライスされる。微粒子の3分の1程度をスライスして電子顕微鏡での観察に回し、残りの塊を同位体顕微鏡で調べる。

 電子顕微鏡では断面の結晶構造などを分析。宇宙線の影響による表面の風化が見つかれば、微粒子がイトカワ由来だと判断する重要な手がかりとなる。

 一方、同位体顕微鏡(全長約7メートル、重量約10トン)による分析は北海道大で行う。微粒子にイオン(電気を帯びた原子)のビームをあて、はじき飛ばされた酸素などのイオンを秒速約500キロに加速。電磁石で、質量が異なる同じ元素(同位体)を区別する。

 酸素の場合は、原子核を構成する陽子は8個で、中性子の数によって質量数(陽子と中性子の合計)が16〜18の3種類に分かれる。地球の物質に含まれる酸素は、同位体の比率がほぼ一定だ。

 分析を行う圦本(ゆりもと)尚義・北海道大教授(宇宙化学)は「イトカワの物質は質量数16の酸素の割合が、地球の物質とはわずかに違うはず」と話す。

 同位体顕微鏡では酸素をはじめ42種類の元素を分析。特に、現在の地球には存在しないとされる特殊なアルミニウムの有無も重要な判断基準になるという。

 初期分析をまとめる土山明・大阪大教授(鉱物学)は「結果は一連の分析を経て確定するが、イトカワの微粒子があれば必ず見つける自信がある」と話す。

こちらは初期分析の手法。様々な機関が取り組みますが、最後のは頼もしい一言ですね。