GRSによる月面のウラン/トリウム濃度分布 [JAXA]

「かぐや」に搭載されたGRSは、世界最高感度を持つゲルマニウム結晶を用いたガンマ線検出器を用いることにより、月面のウランを検出し、月面のウラン濃度分布を世界で初めて求めることに成功しました(左図)。また同時に高精度なトリウム濃度分布も求めることが出来ました(右図)。その2つの分布の様子は似たものであろうと推測されてきましたが、そのことが初めて観測によって明らかにされました。さらに、観測された月全体にわたるウランとトリウムの濃度比は、これまで得られた月隕石やアポロなどで持ち帰られた月試料など、月の局所的な情報から得られた濃度比、始原的隕石(CIコンドライト)やシリケイトアース(地球のコア部をのぞいた残りの部分=岩石圏)での濃度比とほぼ一致していることも明らかにしました。

また、これまでの研究では、月の裏側高地のトリウム濃度は低く、広い領域に渡ってほぼ一定であると報告されてきました。しかしながら、かぐやGRSの観測により、トリウム濃度はほぼ一定であるが、ウラン濃度は低いものの、裏側高地の西側と東側ではその濃度に有意な違いがあることを明らかにしました。

このような、観測結果は、月の起源や月の地殻形成に対して強い制限を加えるものです。今後、GRSで観測された他元素の解析結果と組み合わせることで、月の進化の一端が解き明かされることでしょう。

おっ、出ましたね。これらの鉱物の分布は地殻の成り立ちにかなり影響を受けるらしいので、核心的なデータになるかも知れませんね。