爆発しなかった、チャレンジャーの悲劇 [ナショナルジオグラフィック]
ニール氏によると、後の調査ではるかに複雑な事態が明らかになったという。まず外部燃料タンクが破損し、中の液体水素と液体酸素の推進剤がすべて漏れ出た。これらが混ざって発火し、上空に巨大な火球が生じたが、この時点ではシャトル自体に損傷はなかった。だが、すぐに安定を失う。
「オービター(軌道船)は機体下方で発生した異常事態を検知し、制御システムが正しい姿勢を保とうとこらえていた」とニール氏は説明を続ける。
「最終的に燃料タンクが外れた。シャトルは高速で上昇を続けたが、固体燃料補助ロケット(SRB)とタンクを失って過大な空力負荷に耐えられず空中分解が始まる」。
「まず尾部とメインエンジン、次に両翼がもげた。乗員室と機体の前方部分も貨物搭載室から分離。巨大な破片が空中を舞い落ち、海面にたたきつけられた」。
一般的にはあの大爆発ですべて木っ端微塵になってしまったものだと思われていますが、実はそうではなく、まず外部燃料タンクが吹き飛んでバランスを失ったシャトルのオービター本体が姿勢制御を試みながら慣性で上昇を続けたものの空力で分解してしまったと…。
合掌。