宇宙開発委員会 推進部会(平成23年)(第1回) 議事録 [宇宙開発委員会]

はやぶさ2プロジェクトの事前評価についての議事録がアップされています。

 さらに、とりもち方式は今回、採用しないことになりまして、そのかわりというわけではないのですが、ここにホーンの先端を折り返しておきます。タッチダウンのときに、その折り返したところに、表面の物質が乗って、そのままホーンの先端についたまま探査機と一緒に上昇していきます。そのときに探査機の方を例えば急にスピードをとめると、折り返し部に乗っている物質が、そのまま慣性の法則で上に上がっていってキャッチャー部に入っていきます。これはバックアップ的なのですが、こういう機能を追加しようとしています。ですから、とりもち方式はやはりちょっとリスクがあるかなということで今回は採用せずに、そのかわり、こういう、わりと原始的なのですが、単純なやり方でバックアップ的に物質をとるという考え方になります。

 イオンエンジンの方は、イオンが出る部分と電子を出す中和器の部分、2つあって、基本的に中和器の方が劣化しておかしくなったということがわかっています。ですから、より耐久性があるような中和器を、今、イオンエンジンのグループが検討しています。

基本的には新規開発要素を少なくして(といっても衝突体がかなりダイナミックな挑戦ですが)、かつ信頼性を上げる方向ですね。とりもち方式は見送ったようです。
あとESAマルコ・ポーロを検討した流れでドイツからMASCOTランダーの提供を申し出ている模様。

 オシリス・レックスについては、我々も意外だったのですけれども、実はNASAとの議論は、そのオシリスの話が出る少し前に既にやっていて、そのときは基本的には、ここに短いですが、書いてありますように、「はやぶさ」と同様なNASAとの協力関係です。1つだけ追加してきたのは、先ほど言わなかったのですが、観測データとサンプルの提供以外に有人ミッション検討のために関連しそうなデータも提供してほしいとNASA側から言われています。どういうことかというと、ナビゲーションのデータです。そういったものは実は、「はやぶさ」のときには川口プロマネがかなり慎重にナビゲーションのデータはNASA側に提供してないのです。サイエンスのデータは提供しています。
 というので、今回は有人ミッションを意識していて、そういうデータも欲しいと言ってきていて、我々としても、もう少しNASA側に要求するものを再検討しようかなということは考えています。それこそオシリス・レックスがとってきたサンプルを提供してもらうとか、こっちもサンプルをあげるので、そういうお互い競合するというよりは、お互い協力関係をさらに強くして、相互のサイエンスの成果を上げていくような方向に是非動いていきたいなと思っています。ただ、オシリスのチームとはまだ何も議論はしておりません。NASA側と議論しているだけです。

これはNASAの本気度が伺える話ですね。うまくいくと面白いことになりそうです。衝突体が小惑星の軌道に与える影響についての話も。

 「はやぶさ」と「はやぶさ2」、ほぼサンプリング装置は同じなので、「はやぶさ」の場合ですけど、地上の微小重力実験で、サンプリング装置で弾丸を撃って、いろいろな表面を仮定して、砂利だったり、砂だったり、岩だったり、何回も実験をしているのですが、その最低の数値が大体100mgだったのです。ですから、我々は今回、小惑星の表面状況というのは全然知らないのですけれども、想定し得るいろいろな表面状態を考えて、地上で実験した範囲で100mgは取得できるという確認をしたので、この数値目標としては100mgというのを入れたということになります。

地上実験での最低値が目安だったそうです。