30年来の謎、パイオニア・アノマリーの原因がついに判明か [AstroArts]
太陽系の外惑星である木星や土星の探査を目的として打ち上げられた探査機「パイオニア10号、11号」は既に運用を終了しているが、未だ解決されていなかった謎を残していた。この謎はパイオニア・アノマリーと呼ばれる現象で、非常にわずかではあるが、予想よりも太陽側に加速(つまり外向きに飛んでいる探査機にとっては減速)していることを指す。
減速といっても非常に小さなものであり、地球の重力加速度の約100億分の1しかなく、1年かかってやっと400kmの誤差が生じるものである。
パイオニアをはじめ、木星よりも遠い天体を探査する探査機はプルトニウムを利用した原子力電池が電力源となっている。原子力電池はこのプルトニウムの崩壊熱を利用して発電しているが、この熱が地球と通信するためのアンテナの裏側に当たることによって、探査機を太陽の方向に「押して」いることがわかった。
また、探査機の内部で発生した熱は本体からどの方向にも均等に放熱するように設計されているが、シミュレーションの結果、ごくわずかだが、パイオニア・アノマリーを説明できる方向に放熱具合が偏っていることがわかった。
これらの原因はこれまでも疑われていたが、今回の精密な検証によってパイオニア・アノマリーの原因である可能性が高くなったということだ。
輻射熱が原因とは。