「失敗許されない」 はやぶさ2、開発にかかる重圧 [日経]

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 新技術の1つとして宇宙機構が開発する衝突装置は、小惑星表面と内部の試料採取のカギを握っている。着陸直前に爆薬によって約2キログラムの銅の塊を秒速2キロメートルの速さで小惑星に衝突させて、直径5メートル、深さ50センチメートルのくぼみをつくる。そこに探査機が着陸し、試料を採取する。基本動作を確認する地上実験を秋から始める予定だ。
 衝突装置は岐阜県飛騨市で実物の2分の1大の試作品を使い実験を始める。装置から飛び出す銅の塊が爆発で半球状に変形し、きちんと飛ぶかを確認する。銅の塊がばらばらになると小惑星表面への衝突の威力が小さくなるので、1つの塊のまま飛ぶのが理想だ。地上実験は無重量状態ではないが、これが確認できれば小惑星にもくぼみがつくれるとみている。

 新技術のもう一つの目玉は、小惑星表面の状態を調べる「近赤外分光計」と呼ぶ装置だ。小惑星から出る波長3マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルの近赤外線を検知し、惑星表面に水や含水鉱物があるかどうかを調べる。すでに試作部品の低温耐久試験や振動試験を開始しており、今年度中に本格的な実験に移る。

 宇宙機構は5月にプロジェクトチームを発足させた。体制的にも本格開発への準備は整ってきた。宇宙機構文部科学省の宇宙開発委員会が承認すれば本格開発と機体の試作に着手する計画だ。とはいえ、打ち上げまでの時間的余裕はあまりない。政府の事業仕分けの影響などで今年度になってようやく予算がついたような状況で、出だしが遅れた。また、金星探査機「あかつき」に不具合が起きたことにより、はやぶさ2も設計を一部見直すことになった。

新規部分はある程度前倒しで進めていましたが、やはりスケジュールがタイトですから余裕があるとは言い難いですよね。

 ただ、小惑星から無事に地球への帰還を果たしたことが成果でもあった初代はやぶさに対し、後継のはやぶさ2は「失敗が絶対に許されない。プレッシャーがある」(吉川氏)。持ち帰る試料は現在分析が進んでいるイトカワの微粒子を質、量ともに上回ることが期待されている。プロジェクトの成否を握る新技術を宇宙空間でうまく動かすためにも、地上実験の役割は極めて大きい。

こうのとり2号機の打ち上げ前にも虎野プロマネが「1号機の時よりプレッシャーが高い」と話していましたし、期待される分プレッシャーも感じますよね。まあ、そのぐらい手堅くやっているという意味でもあると思いますが、ただ何でも基本的にリスクのあるプロジェクトですから、そこらへんはあまり外野から「ゆるさんぞー」とか追い詰めるような形にはなって欲しくないと思うところ。