イトカワ:10億年で消滅 「はやぶさ」微粒子を分析 [毎日]

イトカワ関係の新しい研究成果が発表されたようです。ていうかまたScience誌ジャック!

 東北大の中村智樹准教授は、イトカワは直径約20キロの「母天体」に別の小惑星が衝突して粉々になり、一部が再び集まって現在の形になったとみられることを明らかにした。中村准教授は、微粒子を構成する元素の割合から、粒子が約800度で加熱されてできたことを確認した。しかし、今のイトカワの大きさ(長さ約500メートル)では形成時に内部が800度まで高温にはならず、理論的に直径約20キロの「母天体」が必要だと推定した。

「はやぶさ」のサンプル分析、初の成果 [ナショナルジオグラフィック]

 中村氏は、「一部の微粒子に衝撃の影響で溶けた部分があり、非常に短い時間だが摂氏1000度を超える温度にさらされていたことがわかった」と述べる。

 天体衝突の時期はまだ不明だが、早急に特定したいという。「衝突した天体の種類についても詳細はわかっていないが、かなりの確率で別の小惑星だと考えられる」。

米サイエンス誌 「はやぶさ」成果特集 隕石の起源、裏付け [産経]

 一方、微粒子に含まれるヘリウム、ネオンなどの希ガスの分析結果からは、小惑星イトカワの表層物質は小隕石の衝突などで100万年に数十センチ以上の割合で宇宙空間に飛散していることが分かった。このため、長いところでも約500メートルの現在のイトカワは、1億年後には完全になくなると、推測されるという。

小惑星イトカワ、10億年後には消滅 JAXAなど分析 [日経]

 東京大学東北大学などの調査では、イトカワ表層が太陽風などの影響で、100万年ごとに表面から数十センチメートルまでの微粒子が削れて飛ばされるという。イトカワの大きさは500メートル超だが、このまま表面が削れていくと約10億年後には消滅する。ほかの天体などと衝突すれば、早くて1億年後にはなくなる可能性がある。

他の天体に衝突しなくても徐々に表面が浸食されて消滅するらしい。なんと。

小惑星イトカワは20kmの母天体が壊れて再集合したもの…初期分析で明らかに [MYCOM]

大塚さんが非常に詳しくレポっておられます。

分析の結果、3個の微粒子全てから、ヘリウム、ネオン、アルゴンの3種類の希ガスを測定することができた(クリプトンとキセノンは検出されず)。これらは太陽の組成に似ており、微粒子がイトカワ表面において太陽風に曝されていたことを表している。ただし、加熱温度を上げていったときの希ガス放出の増減は微粒子ごとに異なっており、このことから微粒子はそれぞれイトカワ表面で潜ったり露出したりを繰り返していたことも分かった。

米科学誌「サイエンス」における「はやぶさ」特別編集号の発行について [JAXA]

プレスリリースも出ています。論文は以下の6本。

1)小惑星イトカワの微粒子:S型小惑星と普通コンドライト隕石を直接結び付ける物的証拠
2)はやぶさ計画によりイトカワから回収された小惑星物質の酸素同位体組成
3)小惑星イトカワから回収された粒子の中性子放射化分析
4)はやぶさサンプルの3次元構造:イトカワレゴリスの起源と進化
5)イトカワ塵粒子の表面に観察された初期宇宙風化
6)ハヤブサ試料の希ガスからわかった、イトカワ表層物質の太陽風および宇宙線照射の歴史

これだけ出てもまだ初期分析の段階における成果だというわけですから、ますます期待が高まりますよね。

宇宙科学の最前線 イトカワの砂 [ISAS/JAXA]

ISASニュース6月号からの記事ですが、ジャストタイミングだったので。A室とB室の隙間にある砂とかの写真も。

はやぶさを応援してくださっている皆様および、はやぶさプロジェクトチームの皆様 [JSPEC/JAXA]

川口先生からもコメントが寄せられています。

みなさま、おめでとうございました。

はやぶさ」プロジェクトに関われた1メンバとして、大変に光栄で、晴れがましく思います。

今回、「はやぶさ」が帰還させたイトカワ試料の初期分析の結果が、SCIENCE誌に特集として 掲載されたことは、分析に参加された国内各大学の研究者、また「はやぶさ」プロジェクトにとって 大きな慶びです。

イトカワの近傍観測の成果の特集に続き、今回、帰還試料に関して再度特集号が発刊されることは、 古くは「さきがけ」・「すいせい」、また「かぐや」での成果をふまえて、我が国の月・惑星探査の成果が、 本格的な成果を出せる段階を向かえた象徴であるように思います。


空間を拓くことで、あらたな姿があきらかになるという、我が国の宇宙開発がかつて夢にまでみた 新しい時代が到来していることを実感させるものです。

はやぶさ」で示せたことは、日本人が独創の成果を出せるという自信ではなかったかと思うところです。 まだまだ震災に苦しむ方々も多く、ともすれば閉塞感を感じずには過ごせない時世ではありますが、 なにがしかではあっても、我が国の次世代を担う若人に、挑戦する心と自信を植えつけることにつながればと 切望するものです。


はやぶさ」プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ
川口 淳一郎


2006年の特集号に目を通す機会がありましたが、うむ、さっぱり解らん状態でありました。日本語あってすら難解なのにw