古川聡宇宙飛行士:天と地で、美しさ実感 古川支局長×間寛平さん−−紙上対談 [毎日]

 寛平 イランとトルコの国境。ものすごくでかい岩山が道の両側にドカーンとそびえている。街は高さ数百メートルの崖の下。すごい景色でした。太平洋のど真ん中で見た虹も半端ない大きさでした。宇宙から見た地球はきれいですか?

 古川 言葉で言い表せないほどです。昼の海の青、陸地の緑や茶色、濃い青の大気の層。夜は夜景、雷、オーロラ。

 寛平 でも「宇宙酔い」は大変だったでしょう。

 古川 いやあ、きつかったです。宇宙に着いて最初の1週間、ずっと船酔いしているようで「うげえ、気持ち悪い」という状態でした。その後、症状はピタッと治まりました。無重力環境に体が適応したのかもしれません。寛平さんもヨットでの太平洋横断は大変だったとか。

 寛平 もう吐いて吐いて。冬の海だから荒れて、激しい波の上下でお尻の穴がヒューッと感じました。毎日生きるか死ぬかの闘い。宇宙飛行士も、宇宙に行く時は死を覚悟するのですか?

 古川 宇宙飛行はまだまだ危険を伴うので、飛行士は任務中の死に備えて遺書を書きます。ただ「怖い」とは思いません。打ち上げや帰還で100回に1回程度、異常事態が起きますが、その時はこれまで積み重ねてきた訓練を思い出し、何とかすると自分に言い聞かせます。寛平さんはアースマラソンの途中でがんが見つかったそうですね。

 寛平 ものすごく落ち込みました。家族も電話で泣くし。でも、たとえ倒れることになってもかっこいい死に方を見せてやる、という自分に酔った勢いで走り続けることにしました。

パッと見愉快なお二方なのにかなり壮絶ですよね。