「すざく」,宇宙で最重量級の衝突現場を検証する: X線で探る銀河団の衝突と合体 [ISAS/JAXA]

今回,私たちは,日本のX線天文衛星「すざく」を用いてこぐま座にあるA2256という銀河団を観測しました。 この銀河団は大小の二つのプラズマ構造を持ち, それらが合体する途中にあるようにみえる「衝突銀河団」の代表です(図1)。 「すざく」の優れたX線分光能力を用いて,銀河団プラズマからのX線輝線のドップラーシフト(*5) を測ることで,この二つのプラズマ構造の(地球と銀河団を結ぶ視線方向の)速度を精密に測定し,その運動状態をとらえることを目指したのです。 観測の結果,これら大小の二つの構造はおよそ1500 km/sという高速で衝突しており, 数億年後には合体すると予想されることが分かりました(図2,3)。

銀河の集合である銀河団同士の衝突。凄まじい…