JAXA's 042号 [JAXA]

今号も面白いネタが揃ってます。

―まず、東日本大震災の際の緊急観測についてうかがいます。
福田 3・11では筑波宇宙センターも被災しました。地球観測研究センター(EORC)の計算機やデータは無事でしたが、その後、計画停電があるかもしれないという問題に直面しました。停電の間の自家発電に使う燃料を節約しないといけませんので、データ解析用の計算機を止めるかどうかという判断を迫られました。この時は計算機を止めないという決断をしたのですが間もなく計画停電が中止になり、計算機を止めずに解析を続けることができました。陸域観測技術衛星「だいち」は震災後40日で寿命のため活動を停止しましたが、その40日の間に400シーン以上の画像を撮りました。さらに海外からも5000シーンを超える画像が届きました。これはそれまでの5年間、「だいち」がいろいろな国の災害観測をずっと行ってきたことが返ってきたと思っていますし、センチネル・アジアや国際災害チャータのような仕組みを作り、JAXAが積極的に参加してきたことがうまく働いたということでもあります。
五味 衛星利用推進センター(SAPC)では、災害関連の省庁・自治体対応を実施しています。海外からのデータを含め、EORCで一次的な処理が行われたデータを衛星利用推進センター大手町分室で大判にプリントアウトして、震災前のデータと震災後の1日1日ごとのデータをセットにして防災関連の省庁や自治体に届け、広範囲な被災状況の把握とそれに基づく対策に役立てられました。省庁側で画像解析をする余裕は全くないので、すぐに使えるものを用意する必要がありました。東京は筑波ほどの被害はありませんでしたので、担当者をすぐに呼び集め、最初の1週間はほとんど徹夜状態で作業をしましたが、ある程度のスピードをもって画像を提供できたのではないかと思います

あの時は本当に修羅場でしたね。筑波が被災したと聞いた時は一体どうなっているんだろうと気を揉んでいたので、「だいち」の画像が届いた時はキャーダイチサーン!とか言ってたのですがw あとALOS-3もプッシュしてます。

―「工学」の部分では?
吉川 外観上の最大の違いは、平面タイプのハイゲインアンテナを2基搭載する点です。

―爆薬の力で衝突体を発射し、小惑星表面に人工クレーターを作る「衝突装置」は世界初の挑戦ですよね?
吉川 そうなんです。出発前にできる限りの実験を重ね、より確実に成功させたいと思っています。爆破時の破片を避けるため、小惑星の影にいったん隠れ、再びクレーター上空に戻ってくるという複雑なナビゲーションが必要になります。
―このあたりは「はやぶさ」の遺産であり、日本のお家芸とも言えますね。
吉川 過信はしていません。また「クレーターができる瞬間をどうしても見たい」という声もあります。イカロスのセイルを撮った小型分離カメラ「DCAM」を使えないかという検討も続けています

はやぶさ2について。Kaバンドアンテナはほぼ確定してるようです。衝突の瞬間は是非見たいですよね。

 「衛星をプチプチなど緩衝材でくるんで専用のバッグに収め、『こうのとり』でISSまで輸送しますから、振動環境は大幅に緩和されます。飛行機で射場まで運べる程度に丈夫なら、もうそのまま宇宙まで行けてしまうことでしょう」(松村)
 さらに、それに勝るメリットが〝軌道投入の直前に、リビングで人間がチェックすることができる〞点だ。
 「宇宙飛行士の手でバッグから取り出され、梱包を外して射出機構にセットすることになります。シャープエッジや、割れて飛散する可能性のあるガラスを避けるなど、対人安全の面で対策が必要となりますが、直前に電源スイッチを入れたり、機能確認をしたり、場合によっては簡単な修理をしたりすることも、不可能ではなくなります」(川崎一義・有人宇宙環境利用ミッション本部 宇宙環境利用センター 計画サブマネージャ)

「きぼう」からの超小型衛星放出実験について。こちらはプログレス補給船も検討されてましたが、ここを読む限りはどうやらHTV「こうのとり」で行く方針のようです。ロケットで打ち上げる場合は宇宙へ直行ですが、荷物としてISSに運び込む場合は「窓から放り出す」ことが可能というのが非常に面白い点ですよね。各衛星についての解説も必読。