HTV「こうのとり」3号機及び星出宇宙飛行士による船外活動ブリーフィング 起こし

今回もNVSさんの中継から起こさせて頂きました。てかもう明日だし!

HTVこうのとり3号機運用状況について

雨の中の打ち上げ
1号機同様決められた時刻に
6日のマヌーバ・ランデブ飛行
7月27日把持
2号機も打ち上げは2日遅れたがほぼ計画通り到着
計画通り毎回到着しているのはこうのとりだけ


3号機運用状況
すぐに取り出して欲しい、生物や試薬などをまず搬出 土曜なので半日作業
その後順次バッグを搬出、8月3日までにかなりを取り出した。
翌週は船外物資移設作業。宇宙飛行士が忙しいので地上からアームを操作。取り外す作業は容易。取り付けなど調整が比較的難しい作業は宇宙飛行士が作業。
廃棄品全体で2.1t 70%搭載完了。i-Ball・REBR(再突入時に観測する装置)は廃棄品を全て搭載してから搭載する予定。今はHTVから運び出してある


小型衛星放出機構の点検中。完了後に衛星放出予定。
AQHは9月に点検開始


クモ、枯草菌 実験開始されている。詳細については把握出来ていない。
詳細はgoogleから発表予定


ハッチ入り口側にi-BallとREBR搭載。奥側にタンクがあり爆発する なるべくハッチ側


国産通信機器、所定の性能。国産エンジン、要求通りの性能。
1号機では高温下があったが再設計の結果全く温度上昇せず安定


8月30日に星出宇宙飛行士EVA。
推進薬が漏れると宇宙服に付着してエアロックを汚染するので二重三重の安全対策としてHTVのバルブ全て締める。9月6日未明にかけてハッチを閉める
7日午前0時過ぎに離脱、8日16時頃に再突入、i-Ball・REBR共にデータ取得し送信 i-Ballは着水後約1時間以降からデータ送信。いずれも作業状態から時間変更の可能性


HTVはずっと姿勢制御をして前回までのデータでは高度88kmまでは行う。

REBRは0.0125Gを検知して高度90kmからデータ取得開始設定
i-Ballはより下の方を狙っているので0.02G検知後50秒後高度80kmからからデータ取得開始設定。高度78kmからHTV主要破壊。高度6kmくらいまでデータ取得、着水後にイリジウム経由で送信

i-BallのCG動画(IHIエアロスペース製)

質疑

i-Ball着水予定はどう言えばいいか
我々は南太平洋と大きく言っているが、解析を行っているところなので。ISS軌道にもよるので何kmとは言えない状況。


―推進系バルブの不具合、原因究明などの進展は。
バルブを作動させる電力を送る回路の故障。現時点では1つの箱、主計に影響はしないと確認している。冗長運用できる。


―ドッキング後に細かいトラブルなどはあったか。
全くなかった。


―新しくなった部分、暴露パレット引き込みのモーターを無くした部分などは
そこは注目していたが、全く問題なく動作した。


―HTVが壊れていく順番は、アンテナの次はどの部分かなど
まず表面の熱容量の小さな物から、アンテナや太陽電池パネルから壊れていく。エンジンは高温に耐えるのでなかなか壊れない。出っ張っているFRGF(掴む部分)なども早く壊れるだろう。


―全体がぐしゃっといくのではなく?
構造体は剛にできているが、与圧部・非与圧部など繋げる部分がまず壊れていくだろう。回転の具合などでも壊れ方は変わってくる。


―星出さんはどのような放出作業を
2人ペアで星出が作業する。サブかメインかは決まっていない


i-Ball着水後1時間からデータ送信、いつごろ写真など提供できるか決まっているか
できるだけ速やかにと考えているか、土曜という事もあるし作業者もずっと作業してきて大変なので、写真もノウハウが入っているか(多分無いと思うが)確認をして月曜日までには頑張りたい。
HTV再突入管制室撮影取材とミッション完了後記者会見を予定しているので今週中に改めてお知らせする。


―小型衛星はいつ頃を想定
NASAと調整中で、2週間後、9月10日を目処に進めている。今日はっきりする。


―放出機構持ち込み完了はいつか
10月30日22時55分〜31日02時10分の間に実施


―AQHは9月以降点検開始とあるが詳しくは
9月4日かその次の週から点検開始。問題なしと確認できればソユーズが実験サンプルを打ち上げGO。10月中旬以降に実験開始。


―生物は小型衛星など特徴的なものがあったが全て問題なく輸送出来たか
特に異常は聞いていない。生物も詳しくは聞いていないが渡した段階では元気に動いていたと聞いている。


星出宇宙飛行士船外活動について

既にNASAでもブリーフィングが行われている
国際間でレビューを行っているので最終決定ではないが最後の審査でGOが出る。JAXAでも安全審査会を実施し、現状問題点はない。GOの判断をもって臨む。
NASAのウィリアムズ宇宙飛行士と星出宇宙飛行士が担当。日本人としては3人目、星出飛行士は初めて。長期滞在中の船外活動はJAXAとして初めてなので、今回の経験を将来に活かしていく。
MBSUという電力分配装置が一部通信機能を失っているので交換する。
ロボットアームのカメラ照明装置を交換。色んな作業を行うときに使う物なのでプライオリティを上げて交換する。
MLMという来年打ち上げられるロシアモジュールのための電源ケーブル敷設


タイムライン 2人共同で6時間半の作業を予定
星出飛行士は主にMBSU交換、ウィリアムズ飛行士はMLM敷設
お互いの作業を支援したり共同作業が必要な部分もある
まずMBSU#1を交換しSSRMSカメラ交換、時間が余ればその他作業。
100kg超と非常に質量の大きいものを移動させるので、SSRMS先端に星出飛行士が乗り作業する。壊れたものを取り外し、ESP2という船外保管プラットフォーム2に置く。新品もそこに置いてあるので、取り外してトラスに持っていく。途中スペアを取り外したりするのにウィリアムズ飛行士の支援で共同作業。トータル3時間25分を予定。
その後SSRMSから一旦降りてS-0トラス上に足場を置いてロボットアームを作業しやすいよう動かしてきてカメラ交換。船内の飛行士とも連携。


残った時間はゲットアヘッドとしてPMA2カバー取り付け。シャトルから乗り込むときのアダプタ。進行方向先頭。今後使う予定が無いのでデブリ対策としてカバーする。最後に位相を合わせて全体にカバーするには2人で作業が必要なのでウィリアムズ飛行士の進捗状況による。
MBSというロボットアームの台座にあるマストカメラ取り外し。SSRMSカメラ優先で作業を組んでいる。今回は取り外して船内に持ち帰り、ドラゴンで回収して修理し戻す。似た作業の訓練は行っているので問題は無い。

質疑

―一連のEVAで設置する物資はいつ打ち上げたか。あらかじめスペアが搭載されていたか。
MBSUは基幹部品なのでスペア品は以前から常備されていたもの。壊れたものも回収して再使用も検討している。MLMのケーブルは来年に本体が打ち上げられるのに合わせて去年プログレスで打ち上げられた。PMA2カバーはシャトルが終わった時のために作られたもので以前からある。


―一般的に船外活動に対してどのような危険性が予想されどのような訓練がされているか
宇宙飛行士は船外活動をアサインされる前から基本事項としてプールなどで訓練している。船外で使うツールに習熟する事、宇宙服の生命維持系など操作への習熟。危険としては気密性を損なう可能性。手袋の傷など過去にシャトルの船外活動でそのようなことで作業が止まった事があった。現在は作業の度にグローブチェックしている。シャープエッジ(尖った部分)、昼間の高温部分に触って火傷や傷がおきないよう注意。移動経路の訓練。


―6時間という制限はどのように決まっているか
背負っている酸素・バッテリなど。作業によっては呼吸が激しくなり酸素消費量が増え活動時間が短くなる。そうでなければ過去には8時間以上などもある。バイタルチェックしながら判断する。

ISS構体に接触しないよう注意するというのはシャープエッジで傷つけないようにということか。
設計上シャープエッジが無いようにはしているが立ち入り禁止区域を規定して掴むところも決めて手順化している。


―気密性に異常があった場合はセンサーがチェックするか
宇宙服は0.3〜4気圧に保たれており状態を常に確認している。


―星出飛行士の作業エリア、緑色点線ISS上を自ら移動とあるがどのように
ハンドレールという手すり状のものが構体の周りに付いていて、これを伝って移動する。数十メートル。


―宇宙服はケーブルで接続されているか
テザーを付けている。作業場所に取り付けながら移動する。生命維持系は独立している。


―過去にシャトルの船外活動で作業が止まった事があるとの事だが健康上の影響は無かったか
実際穴が空いたわけではなく、何層にもなっている一番外側に結構な傷が出来ていて念のために中止した。他には終わった後に見つかったケースも。30分・1時間ごとにチェックしようという作業がその後追加された。


宇宙ゴミの危険は
ISSに対してのデブリ監視は常時行っている。それより気にしているのは宇宙放射線。太陽活動が活発化して宇宙線の影響が大きくなれば中止するルールがありモニタしている。


―船外活動中にどれくらい被曝するかデータはあるか
宇宙ステーション全体のルールとして 放射線量が大きい場合は壁の厚いサービスモジュールに退避するルールがある。船内外も同じ規準。


―手袋の材質は材質は何で厚さはどれくらいか
ゴム系 補強として部分部分に それ以外は繊維質。


―過去の2人の日本人飛行士と比べて6時間半という船外作業時間は
極めて平均的。6時間半がノーマル。土井飛行士は2回合計で12時間43分、野口飛行士が3回に分けて行ったのは20時間5分。


―実際に経験した人でしかできないアドバイスはあったか
直接聞いてはいないが、地上で200時間以上訓練しているので普段通りやればいいよくらいは言っているのではないか。


―オリンピックなどでもあるように見所をアナウンスしてくれると視聴者としても興味が湧くのだが、ここが見所というのを挙げて頂けないか
ビジュアル的にはロボットアーム先端に乗って大きい装置を持って、スーパーマンが飛んでるようにも見える。MBSUはかなり質量の大きいものを外したりする。質量はあるので挟むと大けがをする。軽いからというとラフに扱うと大けがをする。危険度もあるので移動したりボルトを固定したり確実にするところも注目。


―命令系統について。野口さんはEV1だったが今回はウィリアムズ飛行士が主担当?
今回は彼がところどころサポートに入るかたちで経験のあるウィリアムズ飛行士がリードする。


MLMについて星出さんがバックアップに入るということは想定していない?
ノミナルでは想定していないが万一何かあれば可能性はあるし訓練はしている。


シャトルでは船内にEVAで指示を出す人が居たと思うがそのような指令塔がいるか
アカバ宇宙飛行士がロボットアームの操作もするが、基本的にはヒューストンとCAPCOMが指示する。


―MBSUのスペアが保管されてるとの事だが環境がシビアだと思うが使用前にチェックされているものだろうか
今は船外保管用パレットに載っているだけなのでチェックできない。打ち上げ前に点検してある。実際に取り付けて点検する事になる。


JAXA宇宙飛行士が地上からバックアップ支援する体制はあるか
JAXA飛行士として支援は無いが、時間があれば「きぼう」プラットフォームのカメラが不調なので交換したいと思っている。船外活動技術は重要なのでヒューストンに船外活動のエキスパートを送り込んでいる。星出飛行士の健康モニタをするための医師を含めJAXAとして人を割いてサポートする計画。


―今回JAXA放送で中継する予定はあるか
今のところは無い。NASA.TVで実況中継されるのでそちらでご覧頂く格好になる。

とりあえずクモさんが元気にISSに着いたということでホッとしました! 30日の星出宇宙飛行士の船外活動は是非見たいと思っています。ただ帰るのがちょっと遅くなっちゃいそうですが、6時間半と結構な長丁場ですし。あと今回の船外活動に関するプレスキットはこちらにアップされています。またHTV「こうのとり」関連はこちらです。
中継を見るのはUstreamのNASA.TVチャンネルが高画質でいいと思います。JAXA公式は無いようですが、ニコ生とかでどなたかがミラーリングされるんじゃないでしょうか。