三菱重工技報 第50巻 第1号 新製品・新技術特集 [三菱重工]

宇宙関係ではH-IIBとHTVについて取り上げられています。

H-IIBロケットの技術と将来展望 (0.9MB)

打上げ能力としては,HTV 軌道(遠地点高度300km,近地点高度200km,軌道傾斜角51.65度)に16.5 トン,静止トランスファー軌道GTO:Geostationary Transfer Orbit)には8トン程度の衛星を投入できる打上げ能力を有しており,GTO ミッションでは,2〜4トン級(衛星需要の約50%を占めるクラス)の衛星2機同時打上げによるコスト競争力の確保をねらっている.

また,次期基幹ロケットに向けた継続的なシステム開発の第1段階として,「基幹ロケット高度化開発」を行っている.これは,お客様により良い輸送サービスを提供することを目指して,静止衛星打上げ能力の向上/衛星搭載環境緩和といった,第2段を中心とした改良開発を行うものであり,平成25 年までの開発完了を予定している.

高度化についてはこれまで通り来年度中に完了する計画のようです。デュアル用のフェアリングはどんなもんでしょう?

宇宙ステーション補給機“こうのとり”の安定した量産に向けて (2.2MB)

非与圧部に荷物を搭載するためのパレットが新たに多目的曝露パレットに置き換わり,また,これまでの1,2号機の運用結果からISS 搭乗員のロボット操作だけで曝露パレットをHTVに挿入できることが確認できたため,曝露パレットの引き込み機構が削除された.

3号機では船内物資の質量がこれまでで一番軽くなっているが,質量は小さくてもかさばる装置もあるため,補給実績を質量だけでは単純比較できない.3号機では船内物資は容積的には十分搭載されている.

このへん去年の特別公開の時にもお話をうかがいましたね。

最後に,3号機ではNASA からの緊急の依頼でISS で故障した機器の代替品である触媒反応器を急遽搭載した.NASA は米国SPACE-X 社のドラゴン初号機で運ぶか“こうのとり”で運ぶか検討した結果,信頼性があるとの理由で“こうのとり”での輸送を決めたと聞く.NASA に評価されたことは“こうのとり”の製造に携わる者としてこれほどうれしいことはない.“こうのとり”で輸送することができる荷物は多岐にわたる.これからも,連続成功を続けてさまざまな荷物をISS に届けたいと思う.

かつて日本側がHTV構想を提案したときの反応は厳しいものだったそうですが、今やここまでの信頼を勝ち得るに至りました。有人はよ!