小惑星探査機「はやぶさ2」の挑戦 第5回:イオンエンジン、そしてその先にあるもの [日経テクノロジー]

非常に濃いインタビュー記事となっています。要ログインですが、これは会員登録してでも読む価値はありますよ。無料会員のままでも多くの記事が読めますし、宇宙関連記事も多めなので興味があればオススメです。

ただ、「今の体制で本当に作れるのか」ということはみんな心配していました。プロジェクトを支援するのはやぶさかではない。が、そのためにはまずプロジェクトを完遂できる体制を組む必要があると、人材補強が必須であると、周囲からJSPECに言ってきたということです。

うーむ、ここはあまり口出しできる部分ではありませんが、相当難しいやりとりがあったんでしょうね。

 細田君は、最初JAXAではなくNEDO新エネルギー・産業技術総合開発機構)から「イオンエンジンの産業化」というテーマで補助金を取って、そのための人材ということで採用しました。それで5年ほど経験を積んでもらった上で、NEDO補助金が終わった時に、次世代のイオンエンジンを開発するのに必要な人材だから、JAXAの経験者採用を受験するように勧めて、彼は見事に合格してくれました。
 なぜこんな話をしたかというと、自分たちが自分たちの意志で未来を作ろうとしているということを分かってもらいたいからです。決してお上が決めたことじゃないんです。自分たちが選んだ未来のために、イオンエンジンを研究・開発しているんです。もちろん宇宙空間を航行するイオンエンジンを作るにはメーカー側にもパートナーが必要です。ですから日本電気に行った堀内康男君の次の世代もきちんと育成してきました。

こう言っては何ですが、トップダウンを待っていたのでは予算を出し渋られているうちにどんどん人材が去って行くということになってしまいかねませんよね。国の基幹技術であるはずの新型基幹ロケットですらギリギリです。ましてなかなかその有用性を認められないうちからここまで自らの手で育ててきた技術ですから。

はやぶさ2を通じて工学側としては、これを「行きたい小惑星に行く」に変えていきたいです。理学の側としては、行きたいところに行って調べたいわけですから。

 自分は、イオンエンジンに関しては現在研究開発しているラインアップで十分ではないかと思っています。イオンエンジンは科学目的の無人探査機には使えますが、その先の有人探査も含む宇宙開発には非力すぎます。もっと推力の大きな電気推進システムを開発しなくちゃいけません。

今後JAXAの研究開発の方向性を、イオンエンジンからホールスラスターの方に舵を切っていく必要があると考えています。研究者は、日本に限らず自分の牙城を作ったらその中に閉じこもりがちなのですが、それではいけません。

イオンエンジンだけにこだわってはおられないそうです。電気推進といえば様々な方式がありますし、無人では効率重視でよくても有人ではそうもいかない事情があります。将来的にどこを目指していくかとなると、大型化は避けられないですしね。
そのほかにも木星以遠の電気推進の可能性など面白い話が載っています。