小惑星探査機「はやぶさ2」の挑戦 第8回:一番つらい時期のプロジェクトを支えて [日経テクノロジー]

要ログイン記事。前回に引き続き、前プロマネの吉川先生へのインタビュー。吉川先生と言えばサイエンスのイメージがありますが、元々は軌道工学として入って来られたそうです。
今回の記事も非常にボリュームがありますが、今回は特に「はやぶさ2」プロジェクト立ち上げの困難や吉川先生プロマネ交代の件など、かなり突っ込んだ話が満載。これは一読の価値があります。

吉川 そうなんですけれども、「行ってみなければ分からないからこそ行く」という論理がなかなか理解してもらえなかったです。
 これがアメリカだと「最初に行く」というと「素晴らしい、ぜひやるべきだ」と言われるのですが、日本だと初代はやぶさが帰還してサンプル分析の成果が出た後でも、「サイエンスの検討が甘い」と言われてしまいました。

吉川 理学の方々が望むサイエンスの自律性という面では、本当ははやぶさの成果を使うはやぶさ2では、もっと理学が中心になって計画を組み立てていくべきだったのかも知れません。しかし、初代はやぶさが背伸びして非常に高度なことを狙ったこともあって、色々なトラブルを出しました。その結果、はやぶさ2は、初代はやぶさからの改良や改善といった工学的な側面が強くなりました。かなりがんばって理学側の意見も取り入れたのですけれど……。

なるほど… どうして新規の発見が望める探査計画でサイエンスの側から厳しい意見が出るのかと思っていましたが、「精密探査」への流れと、工学的側面の強さがなかなか相容れなかったと。小惑星探査というコミュニティが育ちきっていなかったため、連続したミッションに対し慎重さが出てしまったということもあるのでしょうか。前回の記事にもありましたが、NASAのOSIRIS-RExなどは数百人規模で専任のサイエンスチームが組まれるほどです。そもそもNASAだとNEARシューメーカー、DAWNと小惑星探査を1つずつ実施してきましたし、JAXAの場合は「はやぶさ」がいきなり初ですからね。大きな成果が得られたものの、言い方はアレですが「ぽっと出」で、勢いだけではなかなか「さあ次」とは行かなかったのかも知れません。難しいですね。