アンタレスロケット打ち上げ失敗


いや、眠い目をこすりながら朝から中継を見てたらえらくショッキングなものを見てしまいましたよ…。午前7時22分に打ち上げられたアンタレスが、直後に墜落です。




映像を見ると、打ち上げ十数秒後にエンジンが何らかのトラブルを起こして推力を失い墜落したという流れに見えます。リフトオフの瞬間は従来の打ち上げと比べて外観上大きく変わった様子は見られませんでしたが。



リフトオフの瞬間。ここは従来通りエンジンが立ち上がった瞬間にタワーが退避し、ロケットが射点から離床します。


離床から約12秒後(あくまで目分量なので正確には多少異なるかと思います)。ここまでは正常に上昇しているように見えます。


離床から13秒後。急激に噴射炎の光量が増加しているように見えます。


直後、エンジン付近で爆発が起き何かが飛散。おそらくエンジン周りが損傷したものと思われます。


推力を失い、そのままの姿勢で落下していくアンタレス


地面に激突し大爆発。





アンタレスの1段目の推進剤はケロシン。そのほとんどが残っていたため、射点付近は激しい火災が起きています。原因究明はもとより、復旧作業も込みでおそらくしばらくは打ち上げが出来ないでしょう。
エンジンは実績ある旧ソ連製のNK-33。ただし2段燃焼サイクルであるため、この方式はトラブルが発生すると破壊が一気に進むと聞きます。アンタレスはこのように既製品を数多く導入したロケットであるため、このように大規模な事故が起きるとはちょっと想像していませんでした。それを考えると、エンジンから何かをバラバラ落としながら軌道投入したファルコン9とかもう訳が分かりませんけどw
もちろんSpaceXも数々の失敗を経験して成長してきたわけです。アンタレスもしっかり対策を取って復活してくれることを願います。


シグナス補給船運用3号機(Orb-3)ミッション [JAXA]

Orb-3では、食糧やクルーへの支給品、システム関連機器、実験関連機器などをISSに運ぶ予定でしたが、今回、ISS/きぼうの維持運用に必要となる重要なシステム関連機器は搭載されていないため、当面のISS/きぼうの運用に支障はありません。

なお、こちらが今回のシグナスで予定されていた補給ミッション。千葉工大が開発した流星観測装置やソーラーセイルの試験などJAXA側で予定されていた実験装置も搭載されています。年月をかけて開発されたものが失われるというのはやはり心が痛みますね…。

米無人補給機シグナス打ち上げ失敗、ロケットが爆発 [AFP]

 大きなオレンジ色の火球が夜空に広がり、ロケットは地上に落下した。爆発の原因は分かっていない。技術者らによると、秒読みはスムーズで、技術的な問題も特になかったという。NASAによると、この爆発による行方不明者や負傷者はいないが、打ち上げ施設に大きな被害が出た。

 調査官らが速やかに発射台付近を封鎖し、秘密指定された装置が積み込まれていたことを理由に、目撃者やスタッフに外部からのインタビューに応じることを禁じた。

米民間宇宙輸送に試練=立て直しに長い時間か−ロケット爆発 [時事]

 事故後に記者会見したオービタル社幹部は、打ち上げ再開までの期間について「どれくらいかかるか分からない」と述べた。原因究明のための調査では、現場の残骸の一つ一つを詳しく検証し、打ち上げ時に記録したデータや映像を解析する必要がある。
 南部バージニア州ワロップスにある打ち上げ施設もロケットの爆発で相当な損傷を受けたとみられる。オービタル社幹部によれば、同社のロケット打ち上げに使えるのはこの施設だけで、再開には施設の復旧も不可欠となる。

ロケット打ち上げ直後に爆発 原因調査へ [NHK]

これについてNASAや企業側の責任者が記者会見し、「打ち上げの直前までは異常はなかったが、打ち上げ後、20秒以内に何かが起きた」と述べて、今後、ロケットの残骸やデータを詳しく解析して、原因を調べることにしています。

とりあえず人的被害は確認されていないようで何よりです。原因究明についてはテレメトリの解析、機体残骸の回収などを行ってからでしょうから数週間単位で時間がかかりそうですね。





こちらは現地の見学者が撮影した動画です。かなり大きな爆発音が響き渡っていますね。特に一番上のものはかなり近くから撮影されています。といっても数kmは離れているでしょうが。


宇宙基地の物資輸送見直し NASA [47NEWS]

 事故原因究明や再発防止の徹底、発射場の修理などを終え、打ち上げを再開するまで数カ月かかる可能性があるためだ。

 シグナスを運用するオービタル・サイエンシズとは別の衛星打ち上げ会社スペースXが12月に打ち上げを予定しているが、積み荷の一部を、今回シグナスで運べなかったより優先度の高い物資と入れ替えるなど、対応を検討する。

まあそうなるでしょうね。
しかし、こうなってくるとHTV「こうのとり」の打ち上げ計画にも影響がありそうですね。もしかしたら多少の前倒しが有り得るかも知れません。

「宇宙大国・米国」威信揺るがすアンタレスロケット爆発 NASAの管理に疑問も [産経]

 オービタル社は有人宇宙船を開発しないため、有人計画への直接の影響は少ないと思われる。だが主エンジンの爆発とみられる今回の事故原因の究明にはある程度の時間がかかることも予想され、ステーションへの物資輸送計画の見直しは必至だ。野党共和党によるオバマ政権への批判材料となって、NASAの安全管理体制に根本的な疑問が示される可能性もある。

それでもある程度のリスクは織り込み済みでしょう。そのためのSpaceXとOSCの二本柱ですし。