はやぶさ2:◆著者エッセー◆「いつだってこれからが最高」のために=松浦晋也 [毎日]

エッセーのトリは松浦さん。

 「これが黄金時代なら、後は下り坂一方なのか」

 笹本さんと、「あとで『あの時が最高潮だった』ということにしたくないよなあ」とうなずきあったのだが、妙に重い感覚はずっと私の内側に残り続けた。

 「『あの時が最高だった』ではなく、『いつだってこれからが最高』とするにはどうしたらいいのか?」

 太陽系の探査を進め、いつだって「これからが最高」という状態を維持発展させていくためには、科学的議論のみではすまない「現実」に対処する必要がある。科学を踏まえ、技術を理解し、政治とわたり合い、思い切りよく判断し、誠実に説得し、猛禽(もうきん)の鋭いツメで予算を獲得してくるのだ。

 「いつだってこれからが最高」のためには、若い人材を育てつつ、はやぶさ2の次を目指す必要がある。はやぶさ2が宇宙を航行する今、私たちは次の卵を温め、ふ化し、育てていかねばならない。それもとびきりの猛禽たる「次なるはやぶさ」の卵を。

最後の一節は痺れました。