小惑星の岩石 採取成功 -探査機『はやぶさ』

■低予算で大きな成果

【解説】

はやぶさ」は百二十七億円という、宇宙研究としては安い費用で、画期的な成果を挙げた。宇宙航空研究開発機構的川泰宣教授は「この予算でここまでできれば“価格破壊”だ」という。

小惑星は、太陽系が誕生したころの姿をとどめている化石のような天体。微量でもサンプルを持ち帰ることができれば、惑星がどのようにできたのか、誕生当時の太陽系はどのような様子だったのかについて研究が進む。

また、二年半、二十億キロの旅をして、二億九千万キロ離れた小惑星イトカワに至るまでにも、いくつかの成果が得られた。惑星探査で初めてイオンエンジンを主な推進機構として用い、連続千時間稼働という目標を達成した。地球の重力を利用し、勢いをつけて飛んでいくスイングバイという航法もうまくいった。

さらに、イトカワの鮮明な画像が得られ、表面の性質はこれまでの予想を覆すようなものだった。

イトカワの仲間には、地球と衝突する恐れのある天体が数多くあるため、そうした天体の性質を理解するうえで、はやぶさの観測データが役立つ。

プロジェクトチームは前向きの姿勢を崩さなかった。二十日に着陸後、試料採取できなかったときも、責任者の川口淳一郎教授は「離陸して、その後も探査機が機能していることに意味がある。それが分かった瞬間は私を含めて、メンバーは大喜びだった」と語る。

サイエンスという分野においてまで「失敗か成功か」という単純な二元論でしか報じない報道機関が少なくない中、最近何かとネタを提供する東京新聞がなかなかGJな記事を書いていました。 よくやった!