「友人なき日本」の世界史 玉置和宏 [毎日]
「真の友人がいない」ことを確認させられたのは国連常任理事国の「4カ国共同提案」の無残な結果だった。票田と思っていたアジアは2カ国の賛成しか得られず53票あるアフリカもまるっきりの結果に終わった。驚くことに最大のサポーターと思っていた米国が冷たく「ノー」と言い放ったのだ。友人がいなくなった責任を外務省に全部負わせるべきではない。だが驚いたことは外務省が自民党の圧力で、急きょ来年度予算で現在25あるアフリカの大使館をボツワナなど4つも増設することを要求したことだ。これまでアフリカでは過去20年で数カ所増やす要求しかしていなかったのにである。ODA(政府開発援助)をまけばいいと思っていたのが結局はあまり効果がなかったという反省から今度は大使館の増設なのか。
中国政府は北京で先週末、アフリカの全首脳を招いて初の「中国・アフリカサミット」を開催した。驚くべきスケールの大きさだ。アジアの時代の後「アフリカの時代」が来るということを見越した中国の戦略が見えてくる。
昔も今も友人づくりは国の生き残りの基本戦略だ。それを実現するのは外務官僚の増員、大使館の増設やODAのバラマキではない。地道に謙虚に世界と日本の歴史をひも解くことから始まる。