早い話が:星くずのブーメラン=金子秀敏 [毎日]

日本政府はこのデブリで中国を非難した。確かにデブリの発生は問題なのだが、よく考えるとデブリはブーメランのように日本自身に戻ってくる問題でもある。

なぜなら、宇宙空間を飛んでくる敵のミサイルを迎撃ミサイルで爆破するという米国のミサイル防衛(MD)システムに、日本は資金面、技術面で協力しているのである。

ミサイル防衛に反対する米国の科学者たちは「ミサイルの迎撃は大量の宇宙ゴミを出すので、低軌道を使う人工衛星が永久に使えなくなる」と警告している。中国製のデブリが悪いなら、ミサイル防衛で出る米国製デブリも非難されなければならない。

弾道ミサイルは地球周回に必要な第一宇宙速度に達せず弾道飛行する。 それを破壊してももちろん破片はそのままの勢いで落下しますから、スペースデブリにはなりませんね。

衛星のミサイル攻撃を禁じたABM条約を一方的に破棄したのは、米国のブッシュ大統領である。ミサイル防衛に不都合だったからだ。

一方、ジュネーブ軍縮会議で衛星攻撃兵器の禁止を提案してきたのは中国だ。米国は反対した。日本が中国の宇宙軍拡に反対しようとするなら、ミサイル防衛にも反対しなくては筋が通らないのである。

上で述べたとおり、MDとデブリの関連性は薄いので日本がMDに反対しなければならない道理はありません。 防御手段であるMDを封じ込めようとする中国の思惑がありありと見て取れます。