宇宙の平和利用 日本はイニシアティブを! [JANJAN]

確かに先進国の宇宙開発における軍拡は、とどまるところなく進んでいる。経団連によると、日本の宇宙開発予算は米国のNASAの6分の1に過ぎず、日本は宇宙開発の十分なマーケットシェアが確保できていない。そのため、宇宙産業の競争力強化のため、宇宙基本法を制定し、軍事利用を含めた予算の拡充が求められている。

しかし、それであっても巨額の財政赤字を抱える中で、米国や他の先進諸国と同程度の予算確保を実施することは至難の技であり、宇宙開発競争における日本の立ち位置から見れば焼け石に水の状況ではないか。特に防衛分野における日本の出遅れは、憲法9条など様々な制約が存在しているため、今後も挽回するためのハードルが非常に高い。

日本はあえて宇宙空間における軍事目的の活用という方向性を修正し、あくまで民生利用、そして宇宙空間の平和利用に向けて旗振り役に立場を変更したほうが賢いように思われる。宇宙における民生利用の観点から予算の選択と集中を図りつつ、宇宙空間における軍拡を抑制し、安全な宇宙空間の利用方法の確立を図ることこそが、日本の生きる道であろう。

宇宙開発における軍事利用という話題は、昨今の北朝鮮事情以前にも存在しました。 例えば、かつてアメリカがスペースシャトル・チャレンジャー号の事故により通常の衛星打ち上げ用ロケット生産を再開せざるを得なくなった時、アメリカのとある2大企業へ日本のLE-5系エンジン(H-I〜H-IIAロケットまで2段目に使用されている高性能国産エンジン)を輸出する商談がまとまりかけたものの、軍事衛星打ち上げに使用されるため非軍事基準に抵触するという理由でゴタゴタしているうちにポシャってしまったという話があります。 実績作りと量産効果が一挙に得られる絶好の機会でありましたが、これが失われた事は日本宇宙開発史に残る大きな損失であったと思います。 こういった事例を見れば、今回の法案は遅きに失したという感じであります。
IGSなどについては、確かに運用規模は限定されるかもしれませんが、結局のところアメリカから偵察画像を購入するわけで、しかも手元にデータが届くまでには日数がかかりますし、場合によってはモザイク付きだと聞きます。 独自の諜報手段を持つことは多かれ少なかれ必要でしょう。 勿論、費用分担や開発計画などに不満は残りますけど。