韓国初の衛星ロケット、軌道投入に失敗 [朝日]

羅老号は2段式で、重さ約100キロの試験科学技術衛星を搭載。1段目のブースターの切り離しには成功したが、上空300〜1500キロの楕円(だえん)軌道への衛星投入に失敗した。韓国政府は、1段目のブースターを共同開発したロシアと調査委員会を立ち上げて詳しい原因を調べ、来年5月2日の再発射を目指す。

ついに打ち上げられたKSLV-1ですが、予定よりも高い高度で衛星が切り離され、計画していた軌道に投入されなかったそうです。それでも一応衛星軌道に乗りさえすれば部分成功とは言えるでしょうが、それもちょっと危ぶまれる可能性がありそうです。

打ち上げは一部失敗、人工衛星が目標軌道から外れる [聯合]

全羅南道・高興の羅老宇宙センターと大田のKAIST人工衛星研究センターによると、25日午後5時に打ち上げられた羅老号は、離陸9分後の高度306キロメートルで科学技術衛星2号を切り離さねばならなかったが、衛星はこれより36キロメートル高い342キロメートルの地点で切り離されたという。
教育科学技術部の安秉万(アン・ビョンマン)長官は会見で、「1段目のエンジンと2段目のキックモーターは正しく作動し、衛星が正常に切り離されたが、目標軌道に正確に乗せられなかったものと分析される」と伝えた。ロケットが宇宙軌道に到達するのには成功したものの、人工衛星の科学技術衛星2号がそこで切り離され、正しい軌道に乗る部分が明確でないため、軌跡を探し調査を進めていると話した。

一方、KAIST人工衛星研究センター関係者は、衛星を覆い保護するフェアリングの片方が開かなかったと伝えている。また、衛星が正常軌道に乗らなかったことについて、「秒速7キロメートルを維持すべき2段目のキックモーターがこの速度を維持できず、衛星が切り離された後に高度1500キロメートルまで進入できず落下した」と話している。

分離された高度が予定よりも高かった理由として考えられるのは「加速しすぎた」「分離のタイミングが遅れた」「飛行コースが高くなりすぎた」あたりですかね。「加速しすぎた」だと遠地点高度が高くなってしまいますが一応周回軌道には乗ります。「分離のタイミングが遅れた」の場合は、いずれにしろ2段目と衛星はほぼ同じ軌道に投入されるので(今回の衛星は軌道制御を行なわないので)さして問題が起きるとは思えません。
一番問題なのは「飛行コースが高くなりすぎた」で、この場合だと水平方向への加速が不足し垂直方向の重力損失で加速を消耗してしまうため、軌道速度が達成できなくなる可能性が生じます。(例えばM-Vロケット4号機は1段目のノズル破損で軌道が高く逸れたために最終的に加速が不足し軌道投入失敗に終わっています。)
また今回はフェアリングの片方が分離されないままだったそうですが、これも最後までデッドウェイトになってしまいます。片方だけで100kg前後くらいはありそうな気がしますが(当てずっぽう)、このロケットのペイロードもまた100kg程なのでかなり影響を受けることは避けられません。分離された衛星がぶつかってしまって破損している可能性もあります。

現在はどうも衛星捕捉の最中のようですが、衛星とほぼ同じ軌道に乗るはずの2段目は衛星分離の後に落下したという話もありますので、もしかしたら衛星もまた厳しいかも知れませんね。続報待ちです。


打ち上げ動画。いいねー。リフトオフ直後に機体が傾いているようですが、これは既定のピッチ制御でしょうか?