月面、水が存在か 今も太陽側で生成? 3探査機観測 [朝日]

月面は乾燥した世界だと考えられていたが、実は、砂の表面に結合する形で水が広い範囲にわたり存在しているとみられる証拠が、インド・チャンドラヤーン1号など三つの探査機の観測で初めて確認された。24日付米科学誌サイエンス(電子版)に論文が3本まとめて掲載される。

観測したのはチャンドラヤーンのほか、土星探査機カッシーニ、彗星(すいせい)探査機ディープインパクト。いずれも水(H2O)か、水のもとにもなるヒドロキシ基(OH)の存在を示す波長の光を検出していた。

水およびヒドロキシ基は、太陽に向いた月面の昼側で主に観測された。砂の表面の酸素原子(O)が、太陽から高速で飛んでくる水素イオン(H+)と結びつくことで、水やヒドロキシ基になったらしい。水は、現在も月の表面の太陽側で作られ続けているとみられる。

砂に結合した形の水は、加熱すれば取り出すことができる。将来の有人探査などに役立つ可能性はあるが、ディープインパクトの観測データでは含有率は0.5%未満。研究者はAP通信に「水を1杯飲むには、野球場のダイヤモンドほどの面積の砂を集める必要がある」と語っている。

これまでにアポロが持ち帰った月の石からわずかな水が検出されているが、地球上の水が混入したとみられていた。

また月の南極にある日の当たらないクレーターに氷が残っていると期待され、日本の「かぐや」が観測したが、確認できなかった。

これは想定外な方向からの発見ですね。水というよりどちらかといえば月面のレゴリスに化学的に結合する形で存在しているそうですが、月面基地建設への一歩となる可能性がありますね。
ちなみに「かぐや」が観測したのはまさに氷として永久影内部に露出した形で存在していないことをシャックルトンクレーターにおいて確認したという話なのでこれとはまたちょっと別の話になります。

月で水を観測、3探査機 [AFP]

論文の1つを発表した、テネシー大学(University of Tennessee)のラリー・テーラー(Larry Taylor)氏の研究チームは、米航空宇宙局(NASA)が月の鉱物組成をマッピングするために開発し「チャンドラヤーン1号」に搭載された装置「M3(Moon Mineralogy Mapper)」を用いて新たなデータが得られたと述べた。

M3は月面から反射される太陽の反射光からの反射をもとに月の土壌に含まれる成分を解析する装置。テーラー氏の研究チームは、M3を使用して反射光の波長を分析し、酸素と水素の化学結合を観測した。同チームは、これが月面に水が存在する証拠になると述べた。テーラー氏の研究チームによると、水素が「太陽風」と呼ばれる現象で飛来してきた可能性があるという。太陽風は、太陽で核融合が起きる際に太陽から放出される水素イオン(H+)原子を主な成分としている。同チームは、月の土壌1トンあたり25%の水が含まれていると推計した。

M3と同様の機器を使用したほかの2つの調査でも、水の存在を示す化学的な特徴が発見された。

そのうちの1つは、約10年前に土星へ向かう途中、月の付近を通過した土星探査機カッシーニCassini)から得られたデータで、もう1つは、2005年に彗星(すいせい)「Tempel-1」に向けて発射された彗星探査機ディープインパクトDeep Impact)からのデータ。ディープインパクトはM3同様の装置を用いて、月の付近を通過する際にデータを収集していた。

また、1960年代にアポロ(Apollo)が持ち帰った月の石や土にも水の痕跡が含まれていた。しかし、石や土を輸送するための容器が密閉されていなかったために、これまでは地球上の水が混入したとみられていた。

25%? マジで? てかどういう比率? まあ表層のレゴリスなでしょうけど、だとしても凄いですね。

月面に水、3機の探査機が存在を確認 [ナショナルジオグラフィック]

しかし、地球のように水資源が豊富に獲得できるわけではない。水やヒドロキシ基の分子はほかの分子と結合しており、月面全体に薄く広がって存在しているのである。月で水やヒドロキシ基を1リットルほど集めるためには、約0.76立方メートルの土壌が必要になると科学者は推測している。

んー、まあ正確な所は当然まだ不明なんでしょうが、相当広く浅く分布しているようです。

月面で水の存在を観測 米国やインドの3探査機 [共同]

米チームによると、水や水酸基は地表か、地表から数センチの深さにある岩石やほこりにくっついた形で存在。太陽から太陽風として飛来する水素イオンが、土壌の鉱物に含まれている酸素とぶつかり水ができたとみられ、水は現在も表面で形成され続けているのではないかとみている。

やはり表層部と推定されるようです。