HTV:日本の無人補給機、ミッション終了 想定以上の成果 [毎日]

「止まっているようにしか見えなかった」。9月18日、宇宙航空研究開発機構JAXA)筑波宇宙センターで、ISSのロボットアームがHTVをつかまえる「キャプチャー」作業を見守った米航空宇宙局(NASA)スタッフの言葉だ。

ISSとHTVは秒速約7・7キロで飛びながらドッキングした。先に飛ぶISSにHTVがぴたりと速度を合わせて接近したため、ISSからの映像ではHTVが静止して見えたのだ。同様の賛辞は世界中の宇宙機関から山中浩二JAXAフライトディレクター(FD)の元に殺到した。「どんな手品を使ったんだ?」というメールに山中FDは「技術的にまじめに作った結果」と答えたという。

リップサービス込みでしょうが、あの映像には確かに魅入られるものがありました。ISSの下の軌道に潜り込んで上がっては止まり、上がっては止まる。徐々に距離を詰めていくわけですが、つまり違う高度を回りつつ相対速度を合わせなければいけないのでかなり軌道制御が大変だという話を聞きます。接近前にテストでしようしていたスラスタがここにきて加熱しすぎたために冗長系に切り替えたりスケジュールを前倒ししたりといった事がありましたが、優雅に見える中でも水面下では忙しく制御しているんですね。これだけキッチリ動かせたのはやはり盤石な信頼性あってこそ。

その結果、HTVJAXAの事後評価で、国際的任務をすべて果たし、安全面でも問題がなかった「フルサクセス」(完全な成功)のレベルを超え、想定以上の成果を上げた「エクストラサクセス」の評価を得る見込みだ。

さらに、HTVがISSに最終接近する際に使った三菱電機製の「近傍接近システム」が10月、総額60億円で米企業の発注を受けた。開発中の次期補給機に採用されるという。HTVの技術がビジネス面でも認められた形になった。

ISSは2015年で廃棄される予定だったが米の有識者委員会は先月、「20年までの延長」をオバマ大統領に提案した。しかし老朽化したシャトルの延命は危険が伴う。延長期間の物資輸送の責任はHTVにかかる可能性が強まった。

国際的な信頼性を得て、将来的に更に発展させていくためにも、きっちり運用していって欲しいものですね。