宇宙実験で広がる未来への可能性〜「きぼう」日本実験棟での実験の成果〜 [JAXA]

ちょっと前の記事ですが。

実用化に向けて最も進んでいるのは、大阪バイオサイエンス研究所の裏出良博先生による研究で、「筋ジストロフィー」という病気に有効な薬ができつつあります。筋ジストロフィーとは、筋肉が萎縮し、機能を失っていく難病で、根本的な治療法がないといわれてきました。ところが、筋ジストロフィーの進行に関するタンパク質の結晶を宇宙で生成し、解析を行ったところ、タンパク質の機能に関与する水分子の存在が明らかになりました。タンパク質の反応部位(カギ穴)の形が分かっただけでなく、それに結合する化合物(カギ)の様子も分かったのです。このように、タンパク質の結晶と化合物が結合する構造を見るためには、特に質の良い結晶が必要なため、高品質の結晶ができやすい宇宙で実験をしたからこそ生まれた成果なのだと思います。裏出先生は製薬企業と協力して、筋ジストロフィーに有効な薬物候補となる化合物を開発し、筋ジストロフィーを発症させた犬に投薬したところ、非常によい結果が出ています。今後さらに研究を続け、早期に医薬品として認証を得ることを目指しています。
そのほかにも、横浜市立大学の朴三用先生は、インフルエンザに有効な画期的な薬の開発を目指してDNA情報の複製に関連するタンパク質の研究を行っています。インフルエンザは毎年冬になると流行する病気ですが、インフルエンザウィルスの種類に応じた予防接種が必要です。また、インフルエンザウィルスによっては、既存の医薬品が効かない薬剤耐性をもったウィルスがどんどん増えています。朴先生はウィルスの中でDNAの情報の複製するタンパク質の構造を解明されました。このタンパク質はインフルエンザウィルスの種類が異なっても同じ形をしており、このタンパク質の構造を詳しく調べることで、さまざまなインフルエンザウィルスの種類によらず、その機能をおさえる新しい医薬品の開発が可能になります。
また、熊本大学の山縣ゆり子先生は、ガンの増殖に関連したタンパク質の研究を行っています。このタンパク質の機能をおさえると、ガンの増殖が止まり、ガン細胞を小さくすることができます。宇宙実験で生成されたタンパク質の結晶によって、その詳細な立体構造が明らかになり、カギ穴に合いそうな化合物(カギ)の研究も進んでいます。
このほかにも、医薬品の開発に関連するさまざまな宇宙実験が行われており、実用化に向けた期待が高まっています。

なんかさらりと凄い事書いてるように見えるんですが、どうやら少なくとも筋ジストロフィーに対して有効な薬品が実際に生まれつつあり、↓の資料によると5年後の認可を目指しているようです。