宇宙開発委員会・推進部会の第2回が開催 [大塚実の取材日記]

本日開かれた宇宙開発委員会の配付資料などのナイスレポ。「はやぶさ2」の概要が載っています。
ざっとまとめてみると…

  • 探査ロボット(ミネルバ)のリベンジ。「はやぶさ」では小惑星表面に降ろすところが未達成なのでミネルバ2(仮)によって得られる科学的成果はエクストラ。
  • はやぶさ」からの改良点→リアクションホイールを3基から4基に。振動対策のため搭載位置の見直し。化学スラスタの推進剤漏れはバルブ損傷、配管ルートの見直し。イオンエンジンは中和機の耐スパッタ性改善など。
  • タッチダウンオペレーションの効率性向上
  • 打ち込み式採取法を改良、併せてとりもちを検討
  • 採取場所はインパクタ衝突実施前に2箇所、衝突場所周辺から1箇所の合計3箇所を検討
  • 打ち上げ時重量は600kg、ドライ500kg。推進剤は化学推進剤60kg、キセノン80kg搭載する容量があるが十分なマージンがあるので満タンにはしない。またこれがミッションを成立させる重量配分
  • リチウムイオン電池には過放電防止装置を検討
  • 1999JU3は1万分の2G (イトカワと同じ密度と仮定)
  • インパクタによる衝突で直径4m、深さ0.8mのクレーターを形成(試験画像あり)。光学カメラで計測
  • 衝突体質量2kg、爆薬部10kg、衝突体速度2km/s
  • 試料汚染の影響が最も少ない銅を衝突体に採用する
  • インパクタについては同様の軍事技術があるが、これをベースに砂礫用に適したものを新開発。

またトリモチについては国内シリコンメーカーと共同開発とのこと。

トリモチ搭載の場合は弾丸発射と同時シーケンス。ということで、サンプル採取に執念を燃やしている様子が伺えます。

宇宙開発委員会 推進部会(平成22年)(第1回) 配付資料 [宇宙開発委員会]

こちらに先週行なわれた審議での配付資料がアップされています。
理学としては

「太陽系と生命の起源・進化の解明」のために、
■C型小惑星の物質科学的特性を調べる.特に鉱物・水・有機物の相互作用を明らかにする。
小惑星の再集積過程・内部構造・地下物質の調査により、小惑星の形成過程を調べる。

工学としては

「日本独自の深宇宙探査技術の確立」のために、
■「はやぶさ」で試みた新しい技術について、ロバスト性、確実性、運用性を向上させ、技術として成熟させる。
■衝突体を天体に衝突させる実証を行う。

が目的となっています。あと成功基準も設定されていて、主な基準は理学面ではサンプル解析を実施すること、インパクタにより小惑星内部に関する知見を新たに得ること。工学面では小型探査機を降ろしてサンプルを採取しカプセルで回収すること、目標半径100m以内にインパクタを衝突させる実証、という感じになっています。詳細は以下略。
あと外観図ではハイゲインアンテナとKaバンドアンテナが8の字型の対になってますね。


イプシロンについても載っています。当初目標より価格が上昇したのはSRB-AやアビオニクスH-IIA共通部分で部品の値上がりなどがあるそうですが、最近またH-IIAが微妙に値上がりしてるのはこの辺も関係しているのでしょうか。初打ち上げから4年後には30億円を切る目標らしい。あと上段が仕様変更されてまたシルエットがスリムになっていますねw