超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)による初の移動船舶からの高速通信成功について〜深海自律型無人探査機海中ハイビジョン映像のリアルタイム伝送実験〜 [JAXA]

 本実験は、平成21年度から実施しているJAXAJAMSTECの共同研究プロジェクト「WINDSを利用した深海探査機映像の伝送実験」の一環で、東京海洋大学の協力を得て実施しました。「きずな」の小型アンテナをJAMSTEC所有の海洋調査船「かいよう」に設置(※)し、JAMSTECが開発する深海自律型無人探査機「MR-X1」によって撮影した海中ハイビジョン映像1チャンネルと標準画質映像3チャンネル、及び船上のハイビジョン映像1チャンネルの合計5チャンネルをJAXA筑波宇宙センターにリアルタイム伝送しました(図2参照)。映像伝送速度は最大で37Mbpsであり、これは、日本近海で船舶に提供されている衛星通信サービスにに対して10倍以上の高速通信を達成したことになります。

※「きずな」は超高速通信を実現するためKa帯と呼ばれる大容量の通信に向いている高い周波数帯の電波を使用しています。このKa帯は通信ビームの指向性が高いため、通信を行うためには衛星に対するアンテナの指向精度を±0.3度以内に保持させる必要があります。この指向の保持制御を実施するため「きずな」の小型アンテナを東京海洋大学の動揺安定台(船の揺れを吸収し、アンテナの向きを一定に保つ。図3参照)に載せて実験を行いました。
 また、船舶が航行している場合、船から見た衛星の方向が時々刻々と変化していきます。そのため、動揺安定台に船の位置情報からアンテナの向きを補正する機能を加えました。これにより航行中の船舶からの安定した通信を実現することができました。

航行する船舶上に設置したアンテナで揺れを補正しつつ衛星へ指向。これ他の通信サービスにも応用出来そうですね。