「はやぶさ」関連ニュース

大きめ粒子もイトカワ産?観察精度の向上期待 [読売]

 小惑星イトカワから地球に帰還した探査機「はやぶさ」の試料容器から見つかった細かい粒子はイトカワの鉱物であることが確認されたが、同じ試料容器内で見つかっている0・1ミリ・メートルほどの大きめの粒子もイトカワのものである可能性が高いことが16日、明らかになった。

はやぶさ、大きい粒子もイトカワ由来か判定へ [日経]

 調べるのは大きさが0.02〜0.1ミリメートルの粒子で、カプセルには50〜60個あった。電子顕微鏡を使って見分ける。JAXAの藤村彰夫教授は「大きい方が微量な成分も発見しやすい。生物起源の謎に迫れる有機物など思わぬものも見つかるかもしれない」と話している。

「生命の起源」発見なるか はやぶさ試料から大きな粒子 [朝日]

 報告によると、大きな粒子は顕微鏡の観察で見つかり、極細の針で一つずつ拾い上げた。容器の素材のアルミなど地球の物質と見られる粒子は3個程度。電子顕微鏡を使った測定はまだだが、イトカワの粒子の可能性が高い。

 すでに見つかった約1500個の微粒子の10倍の大きさで、わずかしか入っていない成分も検出しやすく、アミノ酸を作る炭素や有機物を調べるのに十分な大きさという。

 アミノ酸は、地球に落ちた隕石(いんせき)や米航空宇宙局(NASA)の探査機が接近した彗星(すいせい)でも検出された。イトカワで見つかれば、太陽系の至る所に生命の卵があることになり、火星の地下や、地底に海がある木星の衛星に微生物がいる期待が広がる。

なんか目に見えるサイズでも有望なものがあるみたいです。これらはヘラが出来る前にマニピュレータでつまみ上げてた分ですよね。電子顕微鏡が稼働し始めた事で調査が一気に加速してきましたね。

はやぶさ記者会見 微粒子1,500個はイトカワ由来と判明! [大塚実の取材日記]

大塚さんのレポも上がってきています。ぶら下がりもあります。

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Q 先週のブリーフィング(11/9)でもう分かっていた?

A 向井
こういう情報は来ていたw
でもあまりにも重大なことなので
本当に専門家の意見を聞いて本当に大丈夫かと

Q 鉄とマグネシウムの比率も分かっていた?

A 最後の結果はまだだが
おおよその結果は出ていた

でもこれだけで決めたのではない
どういう鉱物種の組み合わせ
それぞれの割合

その前の10/25のブリーフィングで
記者から鋭い質問があった
岩石質はどうして分かったと
マグネシウムはあったのかと
鉄はどうかと
大体の元素組成はわかっているのかと

その時点で可能性は高くなっていたが
まだそれだけで大丈夫かなと

どうやら先週の時点でかなり固かったようです。かなり慎重に検討してきた様子が伺えますね。

はやぶさミッションが完結した日 [星居Web]

『HAYABUSA -Back to the Earth-』の上坂監督も。

11月16日夜中の0時14分、全ては、一通のTwitterメッセージから始まった。

「明日の朝9時ごろ、携帯に電話してもいいですか?」

えっ、なんだろう?
オーストラリアで一緒にはやぶさを迎えた朝日新聞、東山氏からのメッセージ。9時はドタバタしてる時間なので、10時にして欲しいと告げると、じゃあ、その前に質問の内容をダイレクトメールで送っときます。と言われる。

朝、出勤途中の9時半頃、メッセージを受け取る。
電車の乗り換えの最中だった。

はやぶさの微粒子、イトカワの砂と確認です。」

ちらっと見るが、” はやぶさの微粒子がいとかわの砂かどうかの情報について聞きたい ” という意味に受け取る。なんでそんなこと、僕に聞くんだろう?

電車を乗り換えて、改めてもう一度そのメッセージを読んでみる。

はやぶさの微粒子、イトカワの砂と確認です。」

えっ、えっ、まさかっ!
1500個見つかってるっていうあれが、いとかわの物だと確認されたのかっ!!!

それがわかった瞬間、体がブルッと来た。
しばし呆然。

電車の前の座席との間、空を見つめたまま。時間が過ぎる。

もうね、まさにこうですよね…。最初本当に何の事だか分らなかった感じとか。


期待せざるを得ない。もちろんBDも!

「はやぶさ2」4年後に 炭素含む小惑星へ 生命の誕生探る [日経]

 はやぶさ2は小惑星「1999JU3」に着陸を狙う。地球からの距離はイトカワとほぼ同じ約3億キロメートルだが、大きな違いは炭素が多く存在すると考えられている点だ。人間も動植物も、様々なたんぱく質の働きのおかげで生きている。それを構成するのは、炭素を骨格に持つ有機物だ。

 この小惑星の探査で、太陽系ができた時に宇宙にあった炭素がどのような過程を経て生命体の誕生につながったのか、大きな手掛かりが得られるとみられる。試料の回収に手間取ったはやぶさでの苦労を教訓に、十分な砂粒などを持ち帰れるよう仕組みも工夫する。

小惑星探査機:イトカワ微粒子採取 迫る「太陽系の起源」 「はやぶさ2」実現に期待 [毎日]

 これまでは地上に落ちてきた隕石(いんせき)を集め、分類する方法が主流だった。「地球環境による汚染を受けていない物質を調べることは、これまでにない学問の始まり」と、チームの藤村彰夫・JAXA教授は強調する。

 JAXAは現在、はやぶさの技術を発展させ、新たな小惑星を目指す「はやぶさ2」計画を進めている。

 新型電気推進エンジン(イオンエンジン)など、はやぶさが実現した「世界初」の技術を生かす一方、反省点は改善する。イトカワ表面に金属球を当て、砕けた砂粒を集める手法が、はやぶさでは不調だった。はやぶさ2では複数の球を連続発射したり、機体につけた「とりもち」のような物質で砂粒をくっつけて回収する方法も検討されている。

「はやぶさ2」で生命の起源に迫れ 後継機の予算化期待 [朝日]

 成果を踏まえ、宇宙機構は、後継計画の「はやぶさ2」で、生命の起源につながる炭素など有機物の多い小惑星を目指す。表面の砂の採取だけでなく、はやぶさができなかった内部の試料の採取にも挑む。もしアミノ酸が見つかれば、生命の起源にも迫れそうだ。

 打ち上げ目標は2014年。目標としている小惑星の軌道から、15年までに打ち上げられないと、地球に近づく次のチャンスは10年後になる、と宇宙機構は訴える。

うむ、「はやぶさ」の本分は工学実証探査機であり、その成果を引っ提げて始原天体への探査に挑む事こそまさに手向け。

 そんなさなかとあって、成果を高木義明文科相みずから記者発表した。宇宙機構の研究者らは「この時期になったのはたまたま」と強調するが、パフォーマンスではないかとの質問が相次いだ。

いやまあ、確かに凄まじいタイミングではありましたけど…w かなり慎重に分析を進めた結果であります。

各紙社説・コラム

はやぶさ 世界初の偉業を未来に生かせ [読売]

 「はやぶさ」の開発予算は約130億円だ。欧米、ロシアの過去の惑星探査機に比べれば大幅に少ない。それでも、イトカワ往復を実現させた日本の高度で効率的な宇宙技術には、欧米などが関心を寄せ、今後の宇宙ビジネスにもつながると期待されている。

 ただ、こうした取り組みを今後も続けられるかどうか、雲行きは怪しい。日本の宇宙開発予算は縮む一方で、後継の小惑星探査機は計画はあるものの、開発予算がまだ確保されていない。

 宇宙探査には、欧米、ロシアに加え、中国やインドも野心的に取り組んでいる。技術の優位性を維持するためにも、日本は十分な予算を手当てすべきだ。

社説:イトカワ微粒子 天からの贈り物だ [毎日]

 はやぶさは構想から四半世紀、プロジェクトが始まってから15年になる。もし、短期的な成果が求められていたら、この成功は得られなかった。科学技術への投資には長期的視点が必要であることを、改めて確認しておきたい。

 プロジェクトが安全圏をねらわず、高い技術にチャレンジした経験も今後に生かしたい。減点方式ではなく、イトカワとのランデブーで200点、カプセル回収で400点など、加点方式で臨んだ姿勢にも学ぶ点がある。

 はやぶさの後継機「はやぶさ2」は、イトカワとは異なるタイプの小惑星からのサンプル持ち帰りを計画する。ねらいは生命のもとになる有機物だ。二番せんじにならないよう、ぜひ、野心的な探査に挑戦してほしい。

イトカワの砂―あっぱれを、次の宇宙へ [朝日]

 はやぶさの構想は四半世紀前、若い研究者の挑戦から始まった。計画の着手からも15年かかった。川口さんはさらに「宇宙科学研究所として40年以上に及ぶ積み重ねがあってこそです」という。加えて、野心的な目標と、高い技術力、研究者たちの献身的な努力が「オンリーワン」の成果を生んだ。

 野心的な計画は、若者たちにとって多くを学ぶ場にもなったことだろう。だが、アジア諸国が研究に力を入れる今、日本の科学は陰りも言われる。

 私たちはなぜ、自然科学の探求を続けるのか。すぐに実利に結びつくわけではないが、知を求める不断の情熱が人類を進歩させてきたことは疑いない。時代に応じた予算のバランスをとりつつ、若者が研究に打ち込み、存分に独創性を発揮できるような研究環境を整えていく必要がある。

【主張】イトカワ微粒子 世界へ「はやぶさ」効果を [産経]

 小惑星からのサンプルリターン(試料回収)は、米露でさえ成し得ていない快挙である。この成功は、人類の知の前進に大きな足跡を残すことになった。

 宇宙の科学探査は、日本の得意とするところだ。だが、実利に結びつきにくいという理由から今の政府によって縮減されかねない状況にあった。それが、はやぶさの大奮闘で危機を脱しつつある。

 科学は、経済成長の原動力となる以外にも真理の発見という人類の財産を築くのだ。はやぶさは、日本の科学研究の退行を押しとどめる役目も果たしてくれた。

 はやぶさ効果は、これから世界に広がっていく。微粒子は世界の研究室に配布され、多様な研究がスタートする。どんな発見がもたらされるか、大いに楽しみだ。

【産経抄】11月18日 [産経]

 ▼今年6月、7年にわたる旅の末、地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」の回収容器に入っていたのは、月より遠い小惑星イトカワ」の微粒子だった。すでに艱難(かんなん)辛苦の宇宙旅行の物語は、SFの傑作をはるかにしのぐ感動を与えてくれた。人類初の快挙という堂々の結末である。

はやぶさの土産(11月17日) [北海道新聞]

▼岩石の成分をさらに詳しく調べる。隕石(いんせき)の微粒子分析で先ごろ道新文化賞を受賞した圦本尚義(ゆりもとひさよし)北大大学院教授の研究室も中核を担う。成果を期待したい