「あかり」が捉えた宇宙最初の星の光 [ISAS/JAXA]

観測終了後も数々の解析結果から新たな発見が出続けている「あかり」。

宇宙はビッグバンで始まり、膨張しつつ現在の姿になりました。マイクロ波宇宙背景放射によって直接観測される誕生40万年後の宇宙は極めて一様かつ等方であることが知られています。一方現在の宇宙は、星や銀河などの密度の高い天体が存在する一方、ほとんど物質が存在しない宇宙空間がある等、極めて非一様です。大型地上望遠鏡の観測によれば、宇宙が始まって数億年後には既に銀河が存在していることが知られています。しかしこの間の宇宙については観測が全くなく、「宇宙史の暗黒時代」ともいわれています。

観測された揺らぎの角度スケールは100秒角(1秒角は1/3600度に相当する角度)より大きく、現在の宇宙の大規模構造(銀河が多く集まっている場所や、ほとんど銀河が無い場所があるという宇宙の非一様な構造)に相当する大きさです。この角度スケールは宇宙最初の星が暗黒物質の密度が高いところで形成されたという理論的予測とも一致します。このことは宇宙第一世代の星が生成された時期(宇宙が始まって約3億年後と想定される)に既に大規模構造が存在していたことを示しています。

この種の観測はこれまでにも試みられていますが、観測領域が極めて狭かったり(ハッブル宇宙望遠鏡(注2))、長い波長での観測に限られていたり(スピッツァー宇宙望遠鏡(注3))したため、明確な結論が得られていませんでした。大規模構造を直接的に示すはっきりした画像が得られたのは今回が初めてです。

背景放射から初期宇宙における銀河の大規模構造、ファーストスターの存在を裏付けたらしい。なんというか、気が遠くなってきます。


確か9か月間くらいはずっと日陰に入らない軌道ですので、その間は使えなくなったバッテリーに影響されず運用できます。一部で制御落下も検討していると報じられていましたが、どのようになるでしょうか。