温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)による観測データを用いた全球の月別・地域別の二酸化炭素吸収排出量の推定について [JAXA]

1.地上観測データに「いぶき」観測データを加えることで、月別・地域別の二酸化炭素吸収排出量(正味収支)の推定値に関する不確実性が、従来よりも大幅に低減される。「いぶき」による継続的観測と今後のデータ処理プロセスのさらなる向上によって、月別・地域別の正味収支の変化をモニタリングできると期待される。
‪2.‬特に、地上観測点の空白域である南米・アフリカ・中近東・アジアなどの領域における、二酸化炭素収支推定値の不確実性は、「いぶき」観測データを加えることによって年平均値で最大50%程度減少した。
‪3.‬北半球の夏季に北半球高緯度地帯で大きな吸収(植物による光合成の効果)、冬季に排出(植物による呼吸の効果)となる傾向が見られ、従来の知見とほぼ同様の結果が見られた。「いぶき」による継続的観測と今後のデータ処理プロセスのさらなる向上で、気候変動による陸域生態系の吸収排出量の変化の早期検出が期待される。
‪4.‬解析を行った1年間の二酸化炭素全球収支は、同期間の地上観測データが示す二酸化炭素濃度増加率から求めた値とほぼ同様の4[GtC/年]程度となっている。この収支の値の妥当性や化石燃料消費による人為起源や自然起源の寄与については今後更に確認を行う。
‪5.‬「いぶき」観測データを加えることで、地上観測データのみを用いて推定した二酸化炭素収支と比較して、月・地域によっては異なる推定結果が得られており、今後「いぶき」観測データの利用研究を進めることにより現象の理解が深まるものと期待される。

これまでは地上観測点が地域によって偏りがありどうしても誤差が大きく出ましたが、「いぶき」によって全球の観測が可能になり、かつ観測精度も確認できたということのようです。NASAのOCOが打ち上げに失敗してしまいましたので相互校正が出来なくなったのが残念ですね。OCO2が計画されているようですが果たして何年後になるか。