隕石から判明した小惑星の形成時期と水の存在 [AstroArts]

この測定はこれまでにも行われていたが、正しく年代を測定するために不可欠な、対象鉱物と同じ鉱物の標準試料が用いられていなかった。クロムを含む炭酸塩が天然に産出しないため、標準試料となる鉱物が得られなかったからだ。

今回、東京大学の研究チームはクロムとマンガンを含む炭酸塩を人工的に合成することで問題を解決した。これまで、正確でない標準試料を用いて得られた年代は大きくばらついていたが(画像2枚目)、人工合成した炭酸塩を試料として4つの隕石について年代を測定した結果、誤差の範囲内で年代が一致した。これらの炭酸塩が形成されたのは、太陽系形成から約480万年後ということになる。

では、このような炭酸塩が形成されたのはどのような環境だったのだろうか。炭酸塩が形成されるには、母天体となった小惑星の形成が早すぎても大きすぎても、また形成が遅すぎても小さすぎてもいけない。これは炭酸塩が形成された年代に、炭酸塩が形成するような絶妙な温度を再現する条件が厳しいためだ。研究チームは太陽系形成から480万年後に炭酸塩が形成される条件について計算機を用いたシミュレーションを行った。その結果、太陽系の形成から350万年後に母天体となった小惑星が形成されたことがわかった。

水のある小惑星、太陽系誕生の350万年後に形成 東大チーム [日経]

研究チームによると、今回隕石を分析した小惑星はその約350万年後にでき、この時は氷として存在した。その後、小惑星が徐々に温まり、約480万年後に氷が水になったという。

太陽系誕生から350万年後に生まれた小惑星に液体の水 - 東大が隕石を分析 [マイナビ]

また、「はやぶさ2」など将来の探査計画によって小惑星から水や有機物を含んだ汚染の少ない試料を持ち帰ることができれば、年代の情報と併せて、生命の起源と進化について重要な知見が得られるかもしれないともコメントしている。

地球の形成時期と合わせて大きな知見になりそうですね。今でも水を保持しているのかと思うとますます興味が尽きません。