宇宙ビジネスを拓く(2) 米から信頼、「有人」へ一歩 [日経]

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 ここに至る道のりは平たんではなかった。HTVプロジェクトチームサブマネージャ、佐々木宏(49)は研究を始めたばかりの1995年、米航空宇宙局(NASA)の担当者が発した一言が忘れられない。「安全だと我々が認めない限り宇宙ステーションには近づかせない」

 「新参者」がドッキングに失敗し、宇宙ステーションが壊れては大変だという不信感が露骨だった。浴びせられた質問や改善要求は約1千件。全部言われる通りにするのはコスト的にも時間的にも無理だ。何度も議論し、双方が納得の上で折り合うことを繰り返した。09年、HTV初号機の打ち上げとドッキングに成功。「素晴らしい技術力だ。おめでとう」とNASA技術者に褒められると、鈴木らは初めて「ようやく信頼を得られた」と達成感をかみしめた。

 今年5月25日。NASAジョンソン宇宙センター(テキサス州)の管制室に鈴木の姿があった。米ベンチャー企業スペースXが独自ロケットで打ち上げた物資輸送機「ドラゴン」が、国際宇宙ステーションにドッキングする瞬間を見届けるためだ。

 NASAを通してドッキング技術で助言を求められていただけに、成功を確認した時の感慨はひとしおだった。もっとも、ドラゴンは地球帰還を果たし既にHTVの先を行く。コストも3分の1。3年後には有人機も目指している。喜んでばかりもいられない。

HTV「こうのとり」の成功でついに有人宇宙開発の分野で対等になる「準備が整った」ということですね。