北極の氷:どんどん解ける 観測史上、最小面積の恐れ [毎日]

「しずく」が定常運用に入ったということで記者説明会が開かれました。今回もNVSさんの中継動画で興味深く拝見しましたが、その中で触れられた北極海の氷についてやはり報道が集中しましたね。

 しずくはJAXAが今年5月に打ち上げた、地球規模の水循環を観測する衛星。データでは、氷が水と混ざって解けやすくなる領域が、例年より1カ月早い7月に現れ、氷の面積は8月18日現在、約466万平方キロまで縮小した。07年より10日早いペースで、データのある78年以降最速という。

 北極海の氷は、何年も前から凍っている厚い「多年氷」と、ここ1年で凍った薄い「1年氷」に分類される。多年氷は近年減少し、今春には1年氷が北極点を含む半分ほどを占めていて、氷が解けやすい状況だった。

 縮小の理由ははっきりしないが、JAXAの堀雅裕研究員は「他の研究機関が調べている海中の水温や氷の厚さなども併せて分析したい」と話している。

07年上回るペースで減少 北極海氷、最小更新か [中国]

 米国の衛星が観測を始めた1978年以来で最小記録は07年9月24日の約425万平方キロ。ことしは07年より10日早いペースで減少している。北極海では例年、9月中旬から下旬にかけて海氷面積が最小になる。

 宇宙機構の堀雅裕ほり・まさひろ研究員は「昨年解け残った海氷が少ないのに加え、残った海氷もシベリア沖から大西洋に押し流されたと考えられる。近年、北極域の気温上昇で海氷の厚さが薄くなってきている影響もあるのではないか」と話している。

北極海の海氷、最速ペースで縮小…宇宙機構観測 [読売]

 今年の北極海は、昨夏に史上2番目に海氷面積が小さくなった影響で、氷が薄くてもろい場所が多く、気温が5月以降上がると、7月には海氷はまばらな状態となった。まばらな海氷は周囲の海水の影響を受けやすく、大きな塊の状態よりも解けやすい。北極海は例年なら7月には海氷が解けてその面積が縮まるスピードが減速に転じるが、今年は8月に入っても、そのスピードは加速しているという。

冬の氷面積減少さほどではありませんでしたが、夏になると顕著となっています。複数年にわたって存在する分厚い「多年氷」の割合が減少し、薄くて溶けやすい「一年氷」の割合が増えていることがあるそうです。この2つはマイクロ波センサで放射率の有意な差で見分ける事ができ(一年氷は明るく見える)、そのメカニズムについては説明すると複雑ということで端折られていましたw このことから、全体的に氷の厚さが減ってきているのではないかという話でした。また海氷の密接度が下がってくることで氷の露出面積が増えることや、日照に晒された海面温度の上昇などより加速度的に融解が進行するのだろうという考えも示されていました。
あと気象予報については海面温度や集中豪雨、台風進路の予測精度向上に繋がっていることのこと。特に台風については「ひまわり」からだと台風の目が見えない場合があるため、そういう場合は降水量データにより目がはっきり見分けられるAMSR2のデータが有効だそうです。
A-Trainは他の衛星とフォーメーションを維持する必要がありますので、差し渡し640kmのコントロールボックスが設定されています。ここから出そうになるとアラートが通知されるようになっているそうです。ちなみに「しずく」の後方に位置するAQUAのコントロールボックスは半分の320kmで、これら2つのボックス間の距離は1460km。