宇宙開発利用部会(第12回) 議事録 [文科省]

イプシロン打ち上げ延期直後の議事録が上がっています。

JAXA(遠藤)】  時刻のずれという説明の仕方が悪かったのかもしれません。地上側から搭載計算機の起動をかけているわけですが、搭載計算機が起動して演算を開始しているということを全く監視しないままに同じ時刻であるものとして、判定時刻を地上側が単独で決めてしまっていましたので、そういうところのデータをちゃんと確認してから監視をしていこうという意味で、時刻を合わせると言いますか、そういう確認をしてからやるようにしようということで、今、作業をしております。また、単に時刻だけの問題ではなく、特に試験機ということで、合否判定の閾値(しきいち)もかなり厳しくしておりますが、ほかのところで逆に厳しすぎるような設定をしていないか、あるいは緩すぎるところはないかという観点でも見ています。そういう判定時間が適切なタイミングでなっているか、判定内容も適切な値が設定されているかというような観点で、もう一度監視項目の全てにわたって見直し作業を進めているところでございます。

例の0.07秒の修正はもとより、搭載計算機の起動を確認してからデータの判定を開始するよう改修を施したようです。判定タイミングを修正するだけでなくNULL値を設定すべきというツッコミが当時大量発生していましたが、根本的に対処していたようですね。

【米本臨時委員】  ざっくりでいいのですが、今の打ち上げコストはロケット本体の製造コストと射点まで持っていってインテグレーション、運用するというコストが半分くらいずつとみていいのでしょうか。

JAXA(遠藤)】  3分の2が工場での物作りのコストで、オペレーションが3分の1くらいです。

【米本臨時委員】  そうすると、製造コストを下げるということが結構効いてくるわけですね。

JAXA(遠藤)】  このオペレーションの比率をどのように考えるかという点で申しますと、オペレーションに3分の1もかかっているということは、私は非常に高いと思っています。これは、これまでの経験から、まだまだかなり下げられる余地があると思っています。

【米本臨時委員】  なるほど。イプシロンは製造コストと運用コストが半分くらいずつだったようですが、液体は3分の2対3分の1くらいなのですね。

JAXA(遠藤)】  イプシロンの方がもっと運用コストが少ないと思います。今回は試験機ということでいろいろな追加試験をやっていますので、それは比較の対象にならないと思います。最終的な定常段階になると、イプシロンは固体燃料を使っているということで製造費の割合が大きくなると思います。

こちらは現行ロケットのコストの割合。これについて現地の作業でまだかなりコストがかかっているという認識のようです。

【井上臨時委員】  細かい質問ですが、SRB(固体ロケットブースタ)にイプシロンの2段目を使うというコンセプトは、新しく入っていることのように思います。これは、イプシロンとお互いに低価格化に向けた協働といったようなことを考えておられるのですか。

JAXA(遠藤)】  現状の2段ではありません。我々は、イプシロンについても高性能化、低コスト化を更に追求していく必要があると思っています。衛星も小型化の傾向はあるのですが、小型化といってもやはりそれなりのミッションを果たすレベルということを考えますと、イプシロンで現状の500キログラムよりももう少し上のレベルまでカバーできた方がいいと思っています。この議論はまた改めてさせていただきたいと思っていますが、そういうときにこの補助ロケットと性能向上型のイプシロンがうまくマッチングがとれるようなことを今から考えておく必要があるだろうということでございます。

【井上臨時委員】  絵を見ると、今のSRBくらいのサイズのものと、それよりは少し短めのものが組み合わされているように見えますが、このメリットは何でしょうか。

JAXA(遠藤)】  現状考えている新型基幹ロケットの補助ブースターは、現在のH-ⅡA、Bの補助ブースターよりも少し小さいものを考えています。何種類も作るつもりはありません。

H-Xの固体ブースターにイプシロンの2段目M-34cを転用する構想が上がっていますが、現状のE-X同様「そのまま」というわけではないようです。高性能化を前提とした構想でしょうか。