三菱重工グラフ|熱人探訪 No.173 探究心で宇宙開発へ挑む姿勢制御を支える技術者たち [三菱重工]

ちょっと前の記事ですが、「はやぶさ」シリーズの化学推進系などを担当している三菱重工の話。

「夏の休暇中、JAXAのプロジェクトマネージャーから突然電話がありました。微小姿勢制御用の装置が故障したため、その代用として、化学推進系を使いたいという話だったのです。化学推進系は、微小な姿勢制御は想定していませんでしたが、なんとか代用になればと、急ぎ地上試験用エンジンで試験を行い、可能な限り小さい制御力となる噴射時間を確認しました」。その後、宇宙空間を航行するはやぶさでも噴射を確認し、小惑星イトカワへのタッチダウンに成功。そのときの喜びは今でも忘れないと、高見は語った。

浦町は、「惑星探査プロジェクトには新しい試みが多く、やってみたいことがたくさんあります。化学推進系の信頼性を高めることも、そのひとつです。また宇宙に興味をもつきっかけとなった有人飛行の分野では、人体に害の少ない燃料を採用した化学推進系など、開発の可能性を追求していきたい」と夢を膨らませる。

三菱重工といえば「あかつき」の推進系、とりわけOMEに採用されたセラミックスラスタでも知られます。そちらは残念ながらバルブのトラブルで本領を発揮できませんでしたが、その後の破壊検査を含む調査で多くの知見を得ることが出来ています。また2015年以降の金星軌道投入にOMEの代替として姿勢制御要のRCSを用いる計画です。短い噴射時間を行うスラスタで長秒時燃焼による軌道変更を行うという、これはある意味「はやぶさ」の逆の対応ですね。もしかしたらここにも関わっておられるでしょうか。