「はやぶさ2」6年間の長旅へ 12月出発 [産経]

 探査のハイライトは小惑星内部の物質採取だ。まず上空で探査機の底部から衝突装置を分離。探査機が小惑星の裏側に退避した後、装置を高度数百メートルで爆発させる。この衝撃で銅製の弾丸を秒速約2キロで地表に激突させ、深さ数十センチのクレーターを人工的に作り地下の物質を露出させる。

 その後、探査機がクレーターに接近。底部にある筒状の装置が地表に触れた瞬間、再び弾丸を発射。舞い上がった粒子を装置に取り込み、帰還用のカプセルに収める。

 地表付近の物質は宇宙線や太陽光の影響を受けて変質しているが、この方法により、約46億年前の小惑星形成時の状態を保っている物質を採取する。

 地表の物質採取を狙った初代はやぶさはプログラムのミスで弾丸発射に失敗し、ごくわずかな微粒子しか回収できなかった。今回は同じ方法で地表での採取にも再挑戦し、計1グラム程度の回収を目指す。

 初代は観測用の小型ロボット1機の着地にも失敗。今回はこれを3機に増やすほか、ドイツが開発した1機も着地させ、地表を移動しながら撮影や物質の計測などを行う。

 プロジェクトを指揮するJAXAの国中均教授は「搭載機器が増え探査内容も多い。決して簡単ではない」と気を引き締める。

小惑星1999JU3 地球の有機物の由来 粒子分析し謎を解明 [産経]

 鍵を握るのは分子の構造だ。アミノ酸は構成する原子の種類が同じでも、右手と左手のように重ね合わせることができない「鏡像異性体」が存在する。生物のアミノ酸はすべて左手型の構造を持っている。

 隕石に含まれるアミノ酸も左手型が多いが、地球衝突時の高温で変質している。これに対し小惑星は元の状態を保っている利点があり、はやぶさ2が採取したアミノ酸に左手型が多ければ、生命の材料は宇宙から運ばれた可能性が高くなる。組成や同位体比などを詳しく調べれば、生命誕生のプロセスを解明する手掛かりも得られそうだ。

 研究に参加する名古屋大の渡辺誠一郎教授(惑星形成論)は「地球の有機物のどの程度が宇宙に由来し、どのように生命の材料となったのか理解が進むだろう」と話す。

 また、地球の海を満たす水も一部は宇宙から運ばれたとみられ、採取した水と地球の水の同位体比が一致すれば状況証拠になる。

 一方、採取した物質に含まれる放射性元素の年代を測定すれば、小惑星同士の衝突の時期などを特定でき、太陽系形成史の解明につながる。京都大の土山明教授(鉱物学)は「未知の物質が見つかれば、太陽系の歴史を理解する上で新たな手掛かりになる」と期待している。

小惑星 探査競争 米欧が急追 [産経]

 小惑星探査は先行する日本を米欧が追い上げ、競争は激化している。米航空宇宙局(NASA)は2016年に探査機を打ち上げ、18年に小惑星に到着。はやぶさ2をはるかに上回る60グラムもの粒子を23年に持ち帰る計画だ。欧州も探査機の打ち上げを検討している。

 米欧が探査するのは、いずれもはやぶさ2と同じタイプの小惑星JAXAの国中均教授は「手をこまねいていると、日本のナンバーワンの地位は一瞬のことになってしまう」と危機感を隠さない。

今回はC型という炭素系成分の多い小惑星がターゲットで、バイオなサンプルが生でゲットできると非常に面白そうです。特に内部となると更に保存状態がよさそうですし、サンプルリターンに先立ちリモートセンシングでの観測成果も楽しみですねえ。奇しくもNASAのOSIRIS-RExも「はやぶさ2」と競合するような形ですが、それぞれの小惑星を比較できるというメリットもありますし。

日本の太陽系探査 独自の技術で成果 [産経]

 日本初の探査機は1985年に打ち上げたハレー彗星(すいせい)探査試験機「さきがけ」。90年には工学実験衛星「ひてん」を打ち上げ、月の重力を利用した加速や方向転換などを実施した。はやぶさ2も、ひてんで習得した技術を基に地球の重力を利用して航行する。

 火星探査機「のぞみ」は2003年、軌道投入に失敗。しかし、相次ぐ不具合に対し、技術陣が復旧努力を続けて運用技術を高めたことが、後のはやぶさ帰還につながったとされる。

 10年に打ち上げた実証機「イカロス」は、世界で初めて太陽光の圧力を帆に受けて航行。その技術は、はやぶさ2の後継機に採用される可能性もある。

「ひてん」だけでえらい回数のスイングバイ実験を実施して技術を習得しましたからねえ。特に2重月スイングバイやエアロブレーキングという高度な実験を行っていますので、異様にハイテクニック。