中国の月探査機にシステム異常、夜間に「凍死」の恐れ [CNN]

玉兎号は昨年12月に着陸機「嫦娥(じょうが)3号」と共に月面に着陸。3カ月かけて月面を探査する予定だった。

しかし新華社によると、機械制御システムに異常が見つかり、担当者が夜を徹して修理を試みたものの、このまま月の夜に入れば復旧できなくなる可能性があるという。

月の夜は地球時間で約14日間続き、月面の温度はマイナス180度にまで低下する。この環境で持ちこたえるためには「冬眠状態」に入って電力を節約する必要があるが、故障でうまく冬眠ができなければ、そのまま「凍死」する恐れがある。

玉兎号、嫦娥3号とも、12月下旬から1月第2週まで続いた月で最初の夜は切り抜けていた。嫦娥3号は24日から無事に冬眠状態に入り、あと1年は正常に動作できる見通し。

うーむ、なんだかかなり悲観的な感じになってきました。越夜とはちょっと違いますが、NASAの火星探査機フェニックスも火星の北極で当初の計画には無かった冬越えを試みましたが復旧はなりませんでした。極寒の環境に備えることができなければ厳しくなりそうですね。再び夜が明けた時にどうなっているか。

中国の月探査車「玉兎」、命絶える? [WSJ]

 無人月探査機(嫦娥3号)が天体の軟着陸に中国として初めて成功したことを受け、昨年12月15日に稼働し始めた探査車の玉兎は、宇宙分野で米国やロシアとの差を縮めるという中国の野心的な計画で中心的な役割を担っていた。公正を期すために言うと、玉兎は永続的に稼働し続けるようには作られていない。月面を動き回るのはたった3カ月間で、その後永遠の眠りにつくよう設計されている。

 そうだとしても、玉兎のミッションが本来の寿命より1カ月以上早く終了した可能性があることは、多くの中国国民を落胆させている。新華社は、身動きが取れなくなった月探査車にインターネットユーザーが同情を示していると報じた一方で、中国の宇宙開発当局への当てつけともとれるようなコメントをした。玉兎が困難に直面したと発表した日が、米航空宇宙局(NASA)の探査車「オポチュニティ」が火星に着陸してからちょうど10周年に当たると指摘したからだ。

 新華社は「オポチュニティが火星に10年滞在していることと比較すると、玉兎の滞在1カ月は長くない」と述べた。

いやあ、安定して大気の存在する火星と比べると温度環境の変化はかなり厳しいですし、一概に比較はできないと思いますが。仮にこのまま設計寿命を待たずして復旧できなくても、軟着陸に成功し月面を走行して1回越夜するところまで行ったことはかなり上出来だと思いますよ。続く4号機も既に開発中ですし、ノウハウは間違いなく蓄積されますね。実際に行ったというのは強いです。