被災地見続けた「だいち」に奇跡、電源失うも返信 [TBS]

 先週打ち上げられた観測衛星「だいち2号」に任務を引き継いだ「だいち」ですが、東日本大震災では大きな役割を果たしました。そして、電池の寿命が尽きるとき、信じがたいドラマが待っていました。

 「これ以上の観測は絶望的」と判断したJAXAは、「だいち」に最後の通信をしました。

 「もう交信しなくてもいいです。電源を止めてください。お疲れさまでした」

 それから5か月。流氷の写真を提供してもらっていた海上保安庁は、「だいち」に感謝状を贈ることを決めました。そして、感謝の気持ちをレーザー光に載せて送ることを思いつきました。しかし、電源を失い、位置もわからない相手に、メッセージは届くのでしょうか。

 「狭いレーザーを夜空に向けてあてて、広い砂浜の中の一粒の砂を見つけるような作業になってきます」(海上保安庁海洋情報部 古田明氏)

 奇跡が起きました。「だいち」からの返信があったのです。

先日「だいち2号」が打ち上げられたばかりですが、このタイミングでこの話を取り上げるとはなかなか粋ですね。ちなみにここにある「返信」のことですが、おそらくレーザーが衛星本体にうまく反射して戻ってきたというものでしょう。もとより「だいち」にはレーザー光通信機能は搭載されていませんし。
「だいち」は今も軌道を周回しているので、タイミングが合えば時々高感度カメラで観測することができます。さらに巨大な太陽電池パドルがいい角度で太陽光を反射すると非常に明るいフレアとなって肉眼でもまばゆく輝いて見えます。逆に言えば、件のレーザーがうまく反射されるかどうかは「だいち」の姿勢次第。当然寿命を終えて姿勢制御を失いぐるぐる回転していることかと思われますから、これはもう大変な幸運だったことでしょうね。厳密に言うなら確率的な話なんでしょうが、それでもやはり嬉しくなります。